放送内容
中央ヨーロッパ・チェコ。クラドルビ・ナド・ラベム国営牧場は、とても風変わりな世界遺産だ。450年もの間、白馬のクラドルバー種を繁殖し、訓練し続けてきた。もともとはハプズブルク帝国の儀式用馬車馬のための白馬。一年に40頭ほどしか生まれない希少種だが、帝国が滅びてもなお、デンマーク王室の式典などに使用されている。撮影したのは夏と冬の2回。格式ある牧場を美しい白馬が駆ける様子は必見だ。
450年の育成法
気高い馬を育てる伝統は、長い間に培われてきた。それは社会主義時代も途絶えることなく残されたのだ。クラドルバーの血統は徹底して管理され、計画的に繁殖されている。馬車を引く調教だけでなく、騎乗しての調教も行われる。
エリザベート 黄金の馬車
クラドルバーの馬を寵愛したハプスブルク家の1人が、19世紀の皇妃エリザベートだ。彼女にゆかりのある黄金の馬車が、ウィーンのシェーンブルン宮殿に保管されている。あまりに豪華な装飾のため、車体は重くなり、8頭のクラドルバーが引いた。
馬のために牧場を大改造
地名の一部「ナド・ラベム」とは「ラベ川のほとり」という意味。牧場ができる前は、川が氾濫する湿地だった。牧場の水は巧みに管理されているのだ。敷地内には、時代ごとに異なる様々な庭園の様式が採用されている。