放送内容
フィリピン南西部、パラワン島には原生林に覆われた大地の下に、海に直接注ぐ、長さ8.2kmに及ぶ地下河川がある。かつて島の住民が“精霊が棲む”と信じ、立ち入らなかった地底の洞窟を流れる川だ。19世紀末、ヨーロッパ人が初めて踏み入ると、洞窟は奇岩ひしめく鍾乳洞だった。海岸に開いた入り口から、“船で行ける、世界で一番長い地底の川”を遡る。
石灰岩が生んだ 地底の洞窟
熱帯雨林に覆われたセントポール山の地底を流れる川。石灰岩地形が生んだ巨大な鍾乳洞を流れる川だ。「大聖堂」と呼ばれる大空間には高さ10mの鍾乳石もある。侵食された石灰岩の壁からは2000万年前のジュゴンの祖先の化石も発見されている。
地底の川につながる 山腹の巨大な穴
セントポール山の中腹にある巨大な穴「デイライトホール」。そこで奇跡の瞬間に遭遇した。天井に開いた穴の上を太陽が通過する時、光の柱が現れるのだ。滅多に出会えない幻想的な光景だ。
水が刻んだ不思議な模様
6時間おきに繰り返す潮の満ち引きが地底の川の流れを変える。満潮時には海水が地底の川に流れ込むのだ。地底の洞窟の壁に、魚のウロコのような不思議な模様がある。これは海水が運ぶ砂粒などが、時に激しく渦巻き、長い年月をかけて岩を削ったものだ。