放送内容
カンボジアのジャングルに寺院などの遺跡が残るアンコール遺跡群。9世紀末から600年に渡り栄えた都である。最も多い時で10万人が暮らしたという。5本の塔がそびえる有名なアンコール・ワット。巨大な顔が彫られた塔が林立するバイヨン寺院。美しい彫刻が石造りの建物を埋め尽くすことから芸術性の高さも評価されている。一時は内戦により危機遺産となったが、今では政情も安定し国際協力による遺跡の修復と保存が進んでいる。
聖なる山
アンコール・ワット寺院は3重の回廊に囲まれ、中心に向かって高くなっていく構造である。中央塔の高さは65mにもなる。都の北東には聖なる山があり、大切な水源でもあった。ヒンドゥ教を信仰したアンコールの人々は、その山に見立てて寺院を建設したのである。
栄華を極めた王
12世紀、国を最も繫栄させた王がジャヤバルマン7世である。彼は歴代の王と違い熱心な仏教徒であった。そのため彼が造った寺院は仏教色が色濃く出ている。巨大都市アンコール・トムも造営し人口は最大となった。そして領土を拡大し栄華を極めたのである。
微笑みの女神
アンコール遺跡群は芸術の都でもあった。寺院の壁や柱に施された彫刻の精巧さは目を見張るものがある。中でも傑作と言われるのは女神像・デヴァター。その美しさを讃えて「東洋のモナリザ」と称される。世界遺産となったのはその芸術性の高さも理由の1つだった。