放送内容
イタリア、地中海に浮かぶシチリア島にある「シラクーサ」は、2500年以上の歴史を持つ島最古の港町である。街は古代遺跡の宝庫で、ギリシア人がつくった巨大な劇場もあれば、地底には古代ローマ人が残した迷宮も広がっている。そして、内陸の「パンタリカ」には、さらに古い3000年以上も前の遺跡もある。それが、渓谷の絶壁に掘られた5000もの謎の穴だ。地中海で栄えた様々な文明を一度に見ることができる世界遺産を巡る。
古代ギリシアで最も美しい都市
海を渡ってきた古代ギリシア人が築いた港町・シラクーサ。地中海の真ん中という地の利を活かして、海洋貿易の重要拠点として繁栄した。やがてギリシア本国のアテネを凌ぐ大都市になったシラクーサは、古代ギリシアで最も美しい都市と称えられるようになった。
断崖絶壁に5000もの穴
シラクーサの内陸にあるパンタリカの渓谷。その断崖絶壁に、人の手で掘られた5000以上の穴が並んでいる。正体は、先住民シクリが残した墓地だった。シチリアの語源にもなったシクリは、死者を安らかに大地に還すために、人を寄せ付けない断崖に葬ったのだ。
地底に古代の迷宮
シラクーサの古い教会の地下には、迷宮のような墓地が広がっている。元々は、ギリシア人が作った地下水路だったが、後にシチリアの支配者になった古代ローマ人が、墓地に変えたのである。地底の迷宮は、2つの文明が生んだものだった。