放送内容
南イタリア、プーリア地方の町アルベロベッロには、きのこのようなトンガリ屋根の家々が1600軒も点在する。「トゥルッリ」と呼ばれる石灰岩を積み上げて作った白壁の家々が建ち並ぶ風変わりな町は、まるで、おとぎの国のよう。屋根には、職人が署名代わりに残したとされる様々な形の尖塔や、原始信仰、あるいはお守りとも考えられるミステリアスなシンボルが描かれ、世界でここにしかない町の不思議を一層深めている。
空から見るおとぎの町
16世紀にアルベロベッロに移り住んだ開拓農民が建て始めたトゥルッリ。1600軒も立ち並ぶトンガリ屋根は、漆喰などの接着剤は使わず、石灰岩の切り石を偶然のバランスで積み上げたもの。屋根をつなげて、おとぎの町は広がっていった。
トンガリ屋根に暮らす
400年前のトゥルッリをリノベーションして町で暮らす家族。夏は涼しく、冬は暖かい快適な空間がトンガリ屋根の下にはある。一方、郊外では、素朴な作りのままのトゥルッリを先祖代々受け継ぎ、牛舎として使っている農家もある。
トンガリ屋根のはじまり
アルベロベッロは石灰岩の痩せた土地。農作地のための開墾で掘り出した石灰岩を積み上げたものがやがてトゥルッリへと姿を変えていった。トンガリ屋根の家の起源については諸説あるが、そのひとつとして、中近東やバルカン半島の様式の伝播が考えられる。
トゥルッリの伝統を守る
昔ながらの工法を受け継ぐ、トゥルッリの修復職人がいる。300年前のオリジナルの屋根の作りに合わせたその作業は、機械の類も一切使わず、設計図もない。ただ、自らの閃きと勘だけでトゥルッリは甦る。その伝統が、職人の息子によって引き継がれてゆく。