放送内容
ベトナムの古都フエは、ベトナム最後の王朝の都だった。世界遺産はフエに築かれた華やかな王宮や皇帝たちの墓。19世紀初頭から150年間続いた王朝には、13人の皇帝が誕生した。都を流れるフォン川沿いに、皇帝たちがそれぞれ独特の墓を作ったのだ。中国の皇帝陵墓を手本にした墓やフランスの城のような墓もある。建物の内装は美しいモザイク模様で飾られている。高価な中国の磁器やワインボトルの破片を材料にした独特なものだ。
フランスと中国が生んだ都
フエが都となった19世紀、ベトナムはアジアに進出していたフランスの影響下にあった。
旧市街に築かれた城壁はフランスから取り入れた城塞様式。そして旧市街の中心にある王宮は中国の様式を手本にした。中国の皇帝のシンボルである竜が、宮殿や門を飾っている。
川が生んだ皇帝の墓
フォン川のほとりに生まれた都フエ。皇帝たちの墓も川沿いに築かれた。水を引き入れて人工の池を作るためだ。水辺に楼閣や門がつらなる皇帝の墓は、中国の様式を取り入れたもの。なかにはフランスの建築家が設計した城のような墓もある。
よみがえる王宮
王朝が滅亡した後、フエの王宮はベトナム戦争の激戦地となり、40もの建物が失われた。現在も王宮の再建工事が続いている。竜の屋根飾りの修復は茶碗やビンの欠片を使ったモザイク装飾。楼閣や回廊の修復も進み、王宮は少しずつ元の姿を取り戻そうとしている。