放送内容
ポルトガルの首都・リスボンの西1600kmの大西洋に浮かぶピコ島。ピコとは「山の頂」を意味し、島の中央には標高2351mのピコ山があります。噴火でできた島の海沿いには石垣で囲まれたブドウ畑が広がります。美味しいワインを作るため、人々が500年前からコツコツと積み上げてきた石垣の景観が世界遺産となっています。ブドウの収穫が9月上旬とヨーロッパの他の地域と比べ少し早いので、その時期に合わせて撮影に行きました。
8000kmの石垣
ピコ島のブドウ園は500年以上かけて人が積み上げた石垣に囲まれています。総延長はなんと8000km。ブドウ栽培に適した気候の海沿いには強い潮風が吹くため、石垣で防がねばならないのです。石垣によってブドウは守られ、美味しい実がなるのです。
火山と生きる
ピコ島の人々がブドウ園の石垣に利用したのは溶岩です。ピコ山の噴火によってできた島なので溶岩はいたるところにあるのです。集落の建物や教会にも使われました。撮影隊は島の象徴ピコ山に登りました。すると山頂から今も熱い蒸気が噴き出していたのです。
海岸に刻まれた2本線
黒い溶岩の海岸に2本の線がありました。実は樽に詰めたワインを運んだ荷車の車輪の跡です。ピコ島で作られたワインは輸出され、ロシア皇帝も愛したと言います。今では樽は使わなくなりましたが、伝統的な甘いワインだけは樽を使って熟成させます。