特集

バーレーン、マナーマ第42回世界遺産委員会リポート

7月2日(月) バーレーン世界遺産委員会リポート 第五回

 今日の世界遺産委員会では、複合遺産と自然遺産の審議。そして拡張登録の審議が行われました。
 「拡張登録」は、すでに世界遺産になっているものの範囲を広げるものです。2001年に世界遺産になったロシアの自然遺産「中央シホテアリン」。40万ヘクタールの範囲が登録されたのですが、新たにビキン川渓谷流域の116万ヘクタールを拡張登録したいと、ロシアから提案があり、今回の審議となりました。
 ロシアの極東にあり(日本海を挟んで北海道があります)、シホテアリン山脈を水源とするビキン川流域には、アムールトラなど希少な動物が暮らしています。そうした価値をふまえて、審議の結果、「拡張登録」は認められました。「中央シホテアリン」は番組でも撮影しているのですが、その広大さにはビックリしたものです。今回、さらに3倍の広さの大地が加わったので、実に広範囲にわたる自然遺産が、日本の近くに誕生したことになります。

photo

2001年に登録された「中央シホテアリン」

photo

拡張登録された「ビキン川渓谷」(ロシア)
© WWFRussia
Author: Aleksander Khitrov

photo

希少なアムールトラの生息地
© WWF Russia
Author: V.Solkin

 自然遺産は、新たに3つが決まりました。
 まず南アフリカの「バーバートン・マコンジュワ山脈」。世界最古の岩石層、バーバートン・グリーンストーン・ベルトがあり、そこでは32億年前に小惑星が衝突した痕跡が発見されています。この衝突が地球のプレート移動のきっかけになったのではという説もあります。

photo

新登録16号
「バーバートン・マコンジュワ山脈」
(南アフリカ)
© Tony Ferrar

photo

新登録が決まって喜ぶ南アフリカ代表団

 ふたつめは中国の「梵浄山」。貴州省にある標高2570mの山で、貴重な金糸猴 (ゴールデンモンキー)の生息地です。

photo

新登録17号「梵浄山」(中国)
© School of Karst Science, Guizhou Normal
Author: Li Guiyun

photo

金糸猴 など希少種の生息地
© Administration of Guizhou Fanjingshan National Nature Reserve
Author: Yang Chuandong

 みっつめはフランスの「ピュイ山地とリマーニュ断層」。オーベルニュ地方にある火山帯で、三回目の挑戦で世界遺産となりました。「フランスにこんな火山地帯があったんだ」と驚きました。

photo

新登録18号「ピュイ山地とリマーニュ断層」(フランス)
© Pierre Soissons

photo

フランス・オーベルニュ地方の火山帯
© Denis Pourcher

 また複合遺産がひとつ決まりました。
 メキシコの「テワカン=クイカトラン渓谷:メソアメリカの起源となる環境」。さまざまなサボテンがあり、特に柱上サボテンは世界で最も稠密なほど多いところです。またこの渓谷には、先住民による古い水利施設の跡も残っており、メソアメリカ文化の中でも最も歴史の古いところとされます。

photo

新登録19号「テワカン=クイカトラン渓谷」(メキシコ)
© CHAC
Author: Diana Hernandez

photo

メソアメリカ文化の中でも最古のひとつ
© CHAC
Author: Diana Hernandez

 というわけで、現時点で、自然遺産3、複合遺産3、文化遺産13が新しい世界遺産になっています。

プロデューサー 堤