特集

2019年1月6日「カリブ海の世界遺産」

海だけじゃない!カリブの絶景を巡る旅

2019年最初の放送の『世界遺産』は、カリブ海が舞台。海だけでなく、山や森、遺跡などのカリブの魅力をまとめてお見せします。カリブ海の世界遺産を巡る旅を案内してくれるのは、江夏ディレクターです。

火山と雨が生んだ沸き立つ湖

カリブ海は実は世界有数の火山地帯なのです。カリブ海の東に浮かぶ島国ドミニカ国の火山にある、世界でも珍しい“沸騰する湖”から、カリブ海の西、中米コスタリカにある、火山が生んだ“動物の交差点”へと飛びます。

──2019年最初の放送は「カリブ海の世界遺産」ですね。カリブというとまず海が思い浮かびます。

江夏ディレクター(以下、江夏):やはりカリブ海のイメージが強いかと思いますが、実は火山や石灰岩の大地、熱帯雨林などの豊かな自然と、そこから生まれた多様な文化が見られる地域なのです。そこで今回は海や島に限らず、カリブ海沿岸のユカタン半島、中央アメリカを含めて合計5つの世界遺産を取り上げています。

──具体的にはどの世界遺産が見られるのでしょうか。

江夏:ドミニカ国の「モーン・トロワ・ピトン国立公園」、コスタリカの「グアナカステ保全地域」、「ベリーズのバリアリーフ」、メキシコの「シアン・カアン自然保護区」と「チチェン・イツァ」です。順番に紹介していきますと、まずモーン・トロワ・ピトン国立公園は、ドミニカ島の南部にある火山、モーン・トロワ・ピトンを中心にした国立公園です。ドミニカ国の国土自体が火山島なのですが、今回は火山の島であることがよくわかる場所として、ボイリング・レイク、“沸騰する湖”を紹介しています。

モーン・トロワ・ピトン国立公園の森を分け進み、山を登ること数時間。蒸気が立ちのぼる沸騰する湖が現れました。

──沸騰する湖とは、ダイナミックですね。

江夏:火山ガスが吹き出す地獄谷のような場所は火山によくありますが、灼熱の湖があるのは世界的にも珍しい地形です。撮影の際にこの湖の水温を実際に計ってみましたが90度以上もあり、まるで“地獄のかまど”といった迫力がありました。

沸騰する湖の水温を測ってみたところ、90度以上。まさに“地獄のかまど”です。

──世界でも珍しい地形ということですが、なぜこの場所にあるのでしょうか?

江夏:ドミニカ島の地下にはカリブプレートの境目があり、マグマが発生しています。そのマグマが地下水を沸騰させ湖に噴きあがっているのです。ボイリング・レイクからは勢いよく蒸気が立ちのぼっているのですが、湖が枯れることはありません。理由は、島の年間雨量が世界平均の8倍の7600ミリもあり、地下水が豊富なためです。

──プレートのお話がありましたが、カリブ海は火山活動が活発な地域なのですね。

江夏:はい。コスタリカの「グアナカステ保全地域」は、ドミニカ国とは反対側のカリブプレートの端に位置する世界遺産で、こちらも世界有数の火山地帯です。太古、南北のアメリカ大陸は海で隔てられていました。それがプレート移動による火山活動で300万年ほど前から島ができ始め、やがて地続きになりました。太平洋から分かれてカリブ海が誕生したわけですが、地続きとなった結果、グアナカステ保全地域は北米大陸と南米大陸の両方から動物がやってくる交差点のような場所となったのです。

コスタリカのグアナカステ保全地域には、世界有数の火山地帯があります。

──どんな動物が南北からやってきたのでしょうか?

江夏:番組でお見せするのは、北米から来たハナグマやシカ、南米から来たアカクモザルとホエザルです。これらはほんの一例で、このグアナカステには33万5000種類もの生き物が生息していると言われます。

──33万5000種類も! まさに火山が生んだ、動物の交差点ですね。

太古の火山活動によって南北アメリカ大陸が地続きになった結果、北からはハナグマやシカなどがやってきました。

グアナカステ保全地域には、南米由来のアカクモザルやホエザルが生息しています。ほかにも多くの動物が南北からやってきました。