特集

辰年スペシャル 北京と瀋陽の故宮

石渡ディレクターインタビュー

皇帝の力を示す龍の2つの宮殿、故宮


2012年元日の「THE 世界遺産」では新年に相応しく、辰年にまつわる世界遺産を放送します。龍はさまざまな権力や宗教でシンボルとして扱われ、龍に関連した文化遺産も多く存在します。その最たるものが今回ご紹介する「故宮」。現地、中国で取材を行った、石渡ディレクターにお話を聞きました。

―今回の特集はお正月らしく、「龍」にまつわる世界遺産ということで、中国の「故宮」が登場しますが、まず素朴な疑問として、中国でも干支はあるのですか?

石渡ディレクター(以下:石渡):ええ、中国だけでなく、東南アジアやインド、ロシアなどでも干支はあります。その中でも中国は龍となじみが深く、その姿をかたどった彫刻や絵画など、さまざまな場所で数多く見られます。その最たるものが、今回登場する故宮なのです。

辰年スペシャル 北京と瀋陽の故宮

―故宮と龍はどういった関係なのでしょうか?

石渡:中国では、古来より龍は神聖なものとされ、皇帝は龍の生まれ変わりであると信じられていました。その皇帝の宮廷が故宮です。そのため、故宮には龍をモチーフにした装飾が散りばめられています。

―具体的にはどういった龍を見ることができるのでしょうか?

石渡:故宮の正門である「午門」から続くセンターラインはかつて皇帝専用の通路だったのですが、ここには龍の彫り物を見ることができます。その先にある「太和殿」には1万点以上もの龍が彫り込まれているのです。軒先の飾りや内装の彫刻、天井に至るまでびっしりで、どこを見ても龍、龍、龍……といった印象を受けます。映像をご覧になれば、その多さに圧倒されるはずです。