放送アーカイブ

2012年8月26日放送
ヒトと食II コショウが世界を変えた

ローマ歴史地区(イタリア)

ローマ市内の遺跡には、東西交易の渡来品を荷揚げした港もありました。
古代の料理を当時のレシピに基づき再現し、コショウ中毒とまで言われた食卓の実態を探ります。

イスタンブール歴史地区(トルコ)

紀元前から東西交易の中継地として栄えた街。スパイスマーケットにはその面影が宿ります。
市内の遺跡から10世紀頃の交易船がそのままの姿で出土して人々を驚かせました。

リスボンのジェロニモス修道院(ポルトガル)

ポルトガル海洋王国の繁栄の証となる壮麗な修道院。
コショウを求めてインド航路を切り開いた大航海時代の英雄、バスコ・ダ・ガマもここに眠ります。

ケープ・フロラ保護地域(南アフリカ)

アフリカ大陸の南端に咲き誇る、珍しい花々。
バスコ・ダ・ガマがその航海で立ち寄った喜望峰の周辺は、稀少な植物があふれる自然遺産となっています。

ゴアの教会群(インド)

コショウを求める道は、信仰を広める道にもなりました。
ポルトガルがインドに築いた植民都市ゴアは、アジアにキリスト教を広める拠点にもなりました。
建ち並ぶ聖堂の中には、フランシスコ・ザビエルの棺が今も安置されています。

キュー王立植物園(イギリス)

18世紀半ばからの歴史を持つ植物園には、世界中の植物が収集保存されています。
かつて南インドにしかなかったコショウの木や、その標本やDNAサンプルも大切に保管され、未来へ種を残すための遺産となっています。

古代ローマの人々はコショウの香りに魅せられ、「コショウ中毒」といわれるほど大量に料理に使いました。そのため原産地・南インドとの交易が活発となり、東西世界の交流が進んだのです。
やがてコショウを求める冒険は大航海時代をもたらし、世界の枠組みは大きく変わっていきます。世界を変えた小さなスパイス。
紀元前から現代まで、コショウを求める思いが世界を結び歴史を動かしていった軌跡を、数々の世界遺産と共に辿ります。