放送アーカイブ

2011年6月26日放送
平泉-浄土を表す建築・庭園

“ジパング”の黄金

藤原氏の時代の代表的な建築物、中尊寺金色堂。今回、世界で初めてハイビジョンのテレビカメラが防御ガラスの内側に入りました。
貴重な原材料と最高の技術で作られた平安の宝石箱。
でも、金色堂にはもう一つの側面があるのです…。

仏が舞いおりた庭

毛越寺の広大な浄土庭園は、自然の情景を模した当時流行の方法でつくられました。
また、信仰の山を背にして建つ無量光院には、自然を巧みに取り入れた緻密な仕掛けが隠されていました。
それは1年に2度表れる黄金の瞬間(とき)…。

900年の時を超える鐘声

この世に浄土を表現しようとした藤原氏。その情熱は、悲惨な戦乱を生き残り、みちのくに君臨した一族の決意の表れでした。
中尊寺が完成したとき初代清衡が読んだという「供養願文」に、その祈りが込められています。
そして、900年の祈りをのせた鐘の音が10年ぶりに響き渡る…。

平泉は12世紀を中心とするおよそ100年、3代にわたって奥州に君臨した藤原氏の拠点、いわば「みちのくの首都」。
初代清衡は中尊寺金色堂で、2代基衡は毛越寺の庭園で、3代秀衡は無量光院で、仏のいる「浄土」をこの世に表現しようとします。
その財力の源泉はみちのくの金。そして平泉の繁栄の底には、清衡の深い悲しみから生まれた「祈り」がありました。