ケーキも買えず、帰ってくる美男と廉。
腕時計を見ると、あと数分で0時。
立ち止まる美男。廉の誕生日に何も出来なかった自分が悲しく…
美男「…私。」
廉「誕生日ケーキ食べようと思ったんだろ?お前らしいオチだったな。」
美男「…すみません。」
廉「でも退屈しのぎにはなったし。今までの中では、一番マシな誕生日だったよ(と微笑みポツリと)ありがとな。」
美男「(廉を見つめ)」
思わず廉を抱きしめる美男。
廉「!!!?」
美男「施設の院長先生が、お誕生日にいつもこうしてくれたんです。今日はあなたが生まれたとっても大切な日。生まれてきてくれてありがとう…って。廉さんから幸せをもらった人たちがこの世界にはいっぱいいます。みんな、廉さんが生まれてきてくれたことに感謝していると思います。」
廉「(心に響いて)」
美男「(思いをこめて)廉さん。お誕生日おめでとう…」
廉「…美男」
美男「(目を閉じて)」
と、パッと廉から離れる美男。
美男「12時を過ぎました。お誕生日は終わりました」
廉「…」
美男「(笑顔を見せて)」
と、廉に背を向けて歩いていく美男。
ブタツボを必死で押しながら、涙を堪えてつぶやく。
美男「私も、廉さんが生まれてくれたことに感謝します…」
歩いていく美男を見送る廉。
廉「(美男の思いに心を打たれ)…」
と、その廉と美男をみていた柊。
柊「(苦しげな表情で)」
と、去っていく柊。
廉、ポケットの中からNANAから取り返した美男のピンを取り出す。