帝日大学病院の医師であり教授。雑居ビル火災の負傷者を診察した関りで、俊哉がUDIにやって来る。息子の六郎も当然自分と同じ医師になるものと考えていて、将来に悩んでいる息子を理解できない。法医学に偏見を持っている。
久部家は一族郎党が医者の家系で、六郎だけそこからはみ出してしまっている。そんな不肖の息子の将来を心配する親父の姿を監督が丁寧に撮ってくれたから、深みのある親子関係になったんじゃないかな。僕は昔からなぜか医者役が多いんですよ。たいていは医学界のドロドロした内幕に関わる役だけど、今回は医学に携わる親父と息子の話。演じていて楽しかったですね。ただ、非常に頑固で恐い親父だから、僕も恐い人だと窪田君から思われたんじゃないかと、そこが心配です(笑)。
俊哉はずっと医学界で生きてきたカタブツで、ものの見方が狭いんでしょうね。だから息子の将来まで自分で決めようとする。良くないですよね。ただ、僕も娘を持つ親だからわかるけど、親子って親離れよりも子離れの方がはるかに難しいんです。子どもはとっくに人格を持った一人の大人なのに、親にとったら子どもはいくつになっても子どもだから。この俊哉と六郎の関係もそうで、軸となる事件そのものとは別のラインですが、深く考えさせられる伏線の一つだと思います。
注目ポイントは、親父は息子を自分にどう立ち向かわせるか。一方、息子はマンモス親父との確執のなかで何に気づいていくのか。その辺が見どころじゃないかな。