おやこで学ぼう救急処置!!

お子様たちや、お母さん、お父さん…家族全員で「困った…こんなときどうしよう!」と、身近に起こりうる、ちょっとしたケガや病気の応急手当を『病院で念仏を唱えないでください』の医療監修チームに教えていただくコーナーです

【第6回】子どもがタバコや玩具を誤飲…!
そんな時どうする?

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子供がおかしなものを食べてしまった。こんな時はどのように対処したら良いのでしょうか?

1なぜ子どもは誤飲を起こしてしまうのでしょうか?どのようなものを誤飲してしまうことが多いのでしょうか?

子供はよくいろいろなものを手に取ると口に入れてしまう癖があります。
特に興味のあるもので、口に入るサイズものであればより起こしやすいでしょう。年齢にもよりますが、食べ物ではないと理解できない場合もありますし、無意識のうちに口に入れていることもあると思います。子供は誤っていろいろなものを誤飲してしまうと言うことを知っておくことが重要ですね。

ではどのようなものを多く誤飲するのでしょうか。よく救急外来に運ばれてくる事例としては、タバコ、おもちゃ、洗剤などが上げられます。特にタバコの誤飲は比較的多いものと言えるでしょう。

2タバコを誤飲してしまった場合、どのように対処すべきでしょうか?

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子供の誤飲で比較的多いのが「タバコ」の誤飲です。
タバコそのものをたべてしまう場合もありますし、残ったジュースやビールの空き缶を吸い殻入れに使用していた場合に、その吸い殻入れの液体を飲んでしまうこともあります。子供にとっては興味の対象なのかもしれませんね。
そう考えると我々大人が、子供の手の届くところにタバコや吸い殻入れをおかないというのが予防としては大変重要だと思います。

もし、万が一タバコを食べてしまった場合は、どうしたらよいでしょうか?
先ずはタバコがどのような影響を出すかを知っておく必要がありますね。タバコの中には、「ニコチン」と呼ばれる成分が含まれています。ニコチンは、摂取してしまった量が過量となると中毒症状を出すことがあります。多くは、嘔吐やよだれ、腹痛、下痢などの症状が見られ、ひどい場合は意識がなくなったり(意識障害)、けいれんを起こす場合もあります。タバコの溶け出した水も同様に危険です。子供は大人に比べて少ない量でも中毒量となることもあり得ます。
もし、タバコを食べてしまったら、どれくらい食べたかが大切になります。もしたくさん食べてしまったようであれば、すぐに医療機関を受診した方が良いでしょう。
タバコを飲んでしまった場合、医療機関を受診するまでは水分などをとらないようにしましょう。
摂取した水分によりタバコが溶けて逆にニコチンの吸収が促進される危険があるとの意見もあります。

3子どものおもちゃを誤飲してしまった場合、どのように対処すべきでしょうか?

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子供はよく、小さなおもちゃなどを口に入れることが多く、何かの拍子に誤って吸い込んでしまうことがあります。
この際に食道から胃へ流れていくのも危険ですが、間違って気管の方へと入ってしまうと、空気の通り道をふさいでしまい窒息をおこし、命の危険があります。丸く小さなおもちゃは危険なので注意が必要です。

もし誤って吸い込んでしまった場合は、うつぶせにして背中を数回たたいてはき出せるかを試みて下さい。すぐに出てこない場合や顔色が悪くなるような場合は危険な徴候です。対応が遅れると心肺停止となることもあります。
このような場合は、なるべく早く救急車を呼ぶなどして医療機関を受診するのがよいでしょう。
おもちゃの誤飲は防ぐことができます。丸く小さいおもちゃは小さい子の手の届くところには置かないように心がけると良いですね。
気道異物に関連して、乾燥した豆も小さい子供には危険なことがあります。誤って吸い込んで気管に入ると、最初は小さい豆が水分でふやけると大きくなることから気管を閉塞してしまうことがあります。小さい子には乾燥豆も避けた方が良いですね。

4漂白剤や洗剤を誤飲してしまった場合、どのように対処すべきでしょうか?

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自宅の洗剤を子供が誤って飲んでしまった、ということもあります。
塩素系の漂白剤を飲んでしまった場合は、口をすすぎ、牛乳をコップ1杯程度(無理な量は飲まさない)飲ませましょう。
塩素系漂白剤はアルカリ性の成分であるため、誤飲すると食道や胃などの粘膜を傷害します。
牛乳は胃粘膜に広がり誤飲した薬剤から胃を守ってくれる働きがあります。慌てて吐かせるようなことをすると吐いた薬剤が気管の方に入ると誤嚥性肺炎(化学性肺炎)という重篤な状態に陥ることがあるので、吐かせるのは行ってはいけない処置となります。飲んだ量にもよりますが、塩素系漂白剤を飲んだ場合は、医療機関を受診して診察をしてもらう方が良いでしょう。

5医薬品を誤飲してしまった場合、どのように対処?

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家族のひとの医薬品を誤って小さい子が誤飲した場合はどうしたら良いでしょう?
これは誤飲した薬剤によります。どのような薬剤を飲んだのか、もしくは飲んだ可能性があるのかを確認して医療機関を受診する方が良いでしょう。
血圧を下げる薬を飲んでしまうと血圧が異常に下がって危険な状態となることもあります。
また糖尿病の薬を飲むと低血糖になり、ひどい場合は意識がなくなってしまうこともあります。その他にも様々薬がありますが小さい子供が内服すると危険な薬剤は少なくありません。
これも同様に小さい子供の興味の対象となりますので、手の届かないところしっかりとしまっておくのが良いですね。

写真:渡部 広明

【 医療監修 】

島根大学医学部附属病院 高度外傷センター
Acute Care Surgery講座 教授
高度外傷センター センター長
渡部 広明

専門分野:Acute Care Surgery(外傷外科、救急外科)、外傷学、災害医学、救急医学、病院前診療学、集中治療学

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