おやこで学ぼう救急処置!!

お子様たちや、お母さん、お父さん…家族全員で「困った…こんなときどうしよう!」と、身近に起こりうる、ちょっとしたケガや病気の応急手当を『病院で念仏を唱えないでください』の医療監修チームに教えていただくコーナーです

【第3回】『頭や足・腕を強く打ってしまった…!
階段から転落、道で転倒した時どうする?』

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ジャングルジムなど高いところから転落したり、転倒してけがをしたときはどう対応したら良いでしょうか?

1転落や転倒により頭を強く打ってしまった際、どのように手当てするのが良いのでしょうか。年齢によって対処の方法は変わるのでしょうか。

子供は防御行動が未熟なために高いところから落ちたりすると、頭部を受傷することは多いとされています。
しかし、頭部を打った場合の対応は基本的には大人と子供では変わりません。高いところ、特に6mまたは3階以上からの転落は、高エネルギー事故に該当するため、救急車をすぐに呼ぶべきでしょう。
頭部を強く打っている人を見かけたときは、まず意識を確認して下さい。続いて呼吸(息をしているか)、循環(脈はあるか)、外出血(血が出ているか)を確認して下さい。いずれかに問題があれば重篤な状態の可能性が高くなります。
けがによっては頭部だけではなく首の骨を痛めていたりすると安易に動かさない場合が良いときもあります。意識があり会話ができる状態であれば、慌てずに救急車を呼び救急隊の到着を待つのがよいでしょう。

2転落・転倒で血が出ている場合、どのように手当てしたらよいのでしょうか。出血箇所によって対応は変わるのでしょうか。

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転落してけがをして出血している(血が出ている)場合は、先ず圧迫して止血をすることが一番です。
大量の出血が持続していると出血のため命を落とす場合もあります。圧迫による止血は部位にかかわらず共通した事項です。
出血を止めるための方法はいくつかありますが、一般的に行われるのは、出血している傷を直接強く抑えて圧迫する方法です。
救助する人が血液汚染しないようにタオルやハンカチなどを使用して圧迫します。もし買い物袋などのビニール袋などがあれば、それを使用して圧迫すると救助者の血液汚染を少なくすることができます。
手足の出血の場合、縛ると良いという話を聞いたことがある方もいるかもしれません。
動脈出血の場合、出血しているところより心臓側を強く(動脈圧より強く)縛ると出血を止めることができますが、圧迫が不十分になると静脈の出血を悪化させることもあるので注意が必要です。

3腕や足の骨折・捻挫が疑われる場合、どのように手当てしたらよいのでしょうか。

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腕や足が変形している場合は、骨折している可能性があります。この場合は安易に動かさない方が良い場合があります。
骨折が大きいと骨折部が動くことで出血が増えることもあります。現場でできる処置は固定です。
救急車を呼び、救急隊到着後にシーネ固定というのをしてもらい病院へ搬送するのが良いでしょう。
同じ骨折でも太もも(大腿部)と骨盤の骨折は命を脅かしかねない危険な骨折です。大腿骨が1本折れると1リットル出血するとも言われ、緊急処置を要する骨折と考えた方が良いでしょう。

4意識を失っている場合、一番初めにどのような行動をとればよいのでしょうか。

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意識を失っている人がいた場合、先ず人を集めて下さい。場合によっては心停止していることもあります。人を呼び、119番に電話をしてもらい、可能であればAEDを持ってきてもらうようにしましょう。
その後に、呼吸(息をしているか)を確認して下さい。息をしていない場合は、心停止していると判断できます。この場合はすぐに胸骨圧迫(心臓マッサージ)を開始して下さい1分間に100~120回程度のテンポで胸がしっかり沈むようにしっかりと圧迫して下さい。
もし呼吸をしているようであれば心停止ではないので、脈があるか確認をします。救急車到着まで呼吸や脈の様子を繰り返し確認して下さい。呼吸がなくなるような場合は、心停止しているので胸骨圧迫をして救急隊の到着を待ちます。

写真:渡部 広明

【 医療監修 】

島根大学医学部附属病院 高度外傷センター
Acute Care Surgery講座 教授
高度外傷センター センター長
渡部 広明

専門分野:Acute Care Surgery(外傷外科、救急外科)、外傷学、災害医学、救急医学、病院前診療学、集中治療学

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