おやこで学ぼう救急処置!!

お子様たちや、お母さん、お父さん…家族全員で「困った…こんなときどうしよう!」と、身近に起こりうる、ちょっとしたケガや病気の応急手当を『病院で念仏を唱えないでください』の医療監修チームに教えていただくコーナーです

【第4回】食事後に突然皮膚のかゆみや唇にしびれが…!アレルギー!?

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突然全身にかゆみが見られ、ブツブツが出たときはどうしたら良いでしょう。

1アレルギー反応にはどのような症状があるのでしょうか。また、どのようなメカニズムで発症するのでしょうか。

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食べ物や衣服など体外から接触するものでアレルギー反応が起こることがあります。
アレルギー反応を起こすと、皮膚の発赤、かゆみ、腫れ(腫脹)、のどのかゆみや違和感、軽い腹痛、嘔吐などが見られます(グレード1)。
ひどくなるとこれらの症状がさらに増悪し、断続的な咳や軽い息苦しさ、頻脈(脈が速くなる)、軽度の頭痛などの症状が見られるようになります(グレード2)。
さらにひどくなると、激しい咳や喘鳴(ぜんそくのような症状)、呼吸困難、不整脈などから呼吸停止や心停止を引き起こすこともあります(グレード3)。
アレルギーの最もひどいものを「アナフィラキシー」と呼び、治療が遅れると命を落とすこともあります

アレルギー反応は、体外の異物を排除しようとする生体の防御反応の一つです。花粉症もその一つです。食べ物によるアレルギー(食物アレルギー)も同様で、ある物質に対してこの反応が過剰となると、IgE抗体と呼ばれる免疫グロブリンが過剰反応を起こして様々な症状を引き起こします。
食物アレルギーの多くは、卵、牛乳、小麦・そば、甲殻類(カニ、エビなど)などで起こります。この反応は多くの人には起こりませんが、反応の起こる体質の人に見られる症状です。

2アレルギーと自覚していない食品を食べた後、アレルギーのような症状が出た場合どのように対処すべきでしょうか。

アレルギー症状が軽い場合は自然と治るものもあります。しかし、症状がどんどん進んでいくものは危険です。特にのどの症状や呼吸器症状は、のどの腫れから呼吸ができなくなると窒息症状が出ることがあり危険です。同時に血圧が低下すると心停止を起こすこともあります。
アレルギーの症状が強い、もしくは強くなるかもしれないと感じた場合はすぐに救急車を呼んで一刻も早く病院での治療を受けることが大切です
全身がぐったりしている、見るからに様子がおかしい、呼吸の症状がある、腹部の症状があるなどの場合はすぐに救急車を呼ぶべきです。

もし誤って口にした場合は、すぐに出して口をすすぎます。目に入った場合は目を洗いましょう。
救急車が来るまでは、患者を仰向けにして安静にして待つ必要があります。体を急速に動かす(突然起き上がったり、立ったりする)と、突然の心停止を誘発することもあるので安静にして救急車を待ちます。可能なら下肢の下に毛布や枕などを置いて下肢を心臓より少し高くすると良いでしょう。
もし意識がなくなり、呼吸をしていないようであれば心停止していることになるため、すぐに心臓マッサージを始める必要があります。

3アナフィラキシーとはどのような症状でしょうか。また、どのように対処できるのでしょうか。

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これまでにお話ししたようにアレルギーの最重症の病態をアナフィラキシーと呼びます。のどの腫れから呼吸困難になったり、血圧が低下してひどいものは数分で心停止してしまうものもあります。
こうならないように、アレルギー症状が起こってしまったら、なるべく早く救急車を呼んで一刻も早く病院での治療を受けれるようにする必要があります。
アナフィラキシーの治療は病院でのアドレナリンという薬剤の投与です。最近ではアレルギーが起こることがわかっている場合には、事前にこの注射を処方しておき、起こったときに自分で注射できるようにすることもできます(ただし、条件があります)。アナフィラキシーを起こしたことがある場合は医師に相談をすると良いでしょう。

4アレルギーとうまく付き合っていく方法はあるのでしょうか。

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アレルギーはある種の体質ですので、この病態とうまくつきあっていく必要があります。そのためには、自分の体にとって何がアレルギーの原因なのかを知っておくことが大切です。
アレルギー性鼻炎もそうですが、その人それぞれの原因物質があります。花粉の人もあればハウスダストの人もいます。食物アレルギーも同じです。
自分のアレルギーの原因物質(アレルゲン)が何かを把握して、これらを確実に避けるような予防策が大切です。最近では販売されている食品やレストランのメニューなどにアレルゲンが記載されているものもあります。アレルゲンを避けるための情報を確認すると良いですね。
アレルゲンを避けるための食事療法も大切です。アレルゲンを避けることだけにとらわれると、バランスの崩れた食生活となることもあります。難しいと感じたら医師や保健師、管理栄養士などに相談しながらすすめると良いですね。

自分のアレルゲンが何かわからない場合は、病院で検査を受けることで特定することができます。アレルギー外来や皮膚科などを受診して医師の相談とアドバイスを受けると良いでしょう。
また、アレルギーの初期症状からアナフィラキシーへと進展することを予測することも大切です。どのような症状が危険なのかを事前に知っておくことが重要です。

写真:渡部 広明

【 医療監修 】

島根大学医学部附属病院 高度外傷センター
Acute Care Surgery講座 教授
高度外傷センター センター長
渡部 広明

専門分野:Acute Care Surgery(外傷外科、救急外科)、外傷学、災害医学、救急医学、病院前診療学、集中治療学

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