「生き残されてしまった」 岩手県大槌町の「江岸寺」住職、大萱生良寛さん(58)は、その思いとともに生きてきた。 6年前の津波で父親(82)と息子(19)を失い、3か月後には娘が(24)が自ら命を絶ってしまったのだ。 良寛さんは悲しみのどん底のなか、仮設住宅に閉じこもり酒浸りの生活を送るようになる。 しかし、檀家の前では悲しい心の内を決して見せず、犠牲者の供養を続けた。 震災から2年後、住職の苦しい胸の内を知っていた檀家から「我慢しないで泣いてください」と勧められると、良寛さんは胸にしまい込んでいた悲しみが溢れ出し、泣き崩れてしまう。 「江岸寺」ではこの6年間、墓の再建が手つかずの状態だった。津波で檀家の情報が全て失われ、誰の墓かすらわからなくなっていたからだ。 途方にくれた良寛さんを手助けしてくれたのは、檀家総代で中学、高校の同級生だった。 耐えがたい悲しみを胸に、鎮魂の祈りを続ける住職の6年を取材した。
ディレクター:西村匡史(TBSテレビ報道局)
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