![]() ![]() 宮坂七海さん、小学4年生。耳が聞こえない。 七海さんは、日本語を聞いたり話したりすることはできない。しかし手話が使える。家のなかでも学校でも、家族や友だちと手話で自由に話をし、なにも困ることはない。 耳が聞こえず、手話を使う人々をろう者というが、七海さんはさしずめろうの子だ。ろう者がしばしばそうであるように、七海さんもまたものごとを眼で捉える力が並はずれている。その眼の力を生かし、1年前から剣道の稽古をはじめた。将来は立派な剣士になるのだと毎日稽古に余念がない。 七海さんのはつらつとした毎日を可能にしているのは、手話ということばだ。それも、日本手話という、ろう者のことばだ。 手話は「耳の聞こえない人が使うことば」と多くの人が知っていても、その手話がじつは日本語と異なる言語だということはほとんど知られていない。手話は「日本語を手の形に直したもの」ではなく、単なるジェスチャーや身振りでもなく、ろう者固有の自然言語だということに多数派である「聴者」はなかなか気づかない。気づかないどころか、手話は長らく誤解と偏見と、差別の対象とされてきた。それはなぜか。 日本手話と、日本手話で子どもたちを教えるフリースクール「龍の子学園」、そして少数者の「言語権」について考える。 |
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