特集

2023年9月17日放送「イヴィンドゥ国立公園」

マルミミゾウが集まる密林の中の湿地

ジャングルの奥へ進むと突然現れる、ぽっかりと空いた湿地。マルミミゾウやニシゴリラなどが集まる動物の楽園です。

──番組のもう1つの見どころ、マルミミゾウが集まる湿地について教えてください。

小澤:マルミミゾウは絶滅危惧種で、ガボン共和国はそうした希少な動植物を保護するために13の国立公園を制定しました。イヴィンドゥ国立公園もその1つです。そんなマルミミゾウが集まる湿地が森の奥にあるということで取材してきました。イヴィンドゥ国立公園の南側にある熱帯林を車で4時間、次に小型バギーで木々の間をすり抜けるように走ること1時間、半日かけてやっと目的地に着きました。木の生えていない湿地で、長さ1.5kmほどある細長い場所です。こうした湿地を「バイ」と呼びます。このバイの端には、3階建ての観察小屋があって、そこに寝泊まりしながら3日間撮影しました。

ジャングルの奥へと進み、マルミミゾウが集まる湿地「バイ」に到着。3階建ての観察小屋に寝泊まりしてバイを撮影します。

──バイではマルミミゾウのどんな様子が見られましたか?

小澤:このバイの周辺の森には1000頭ほどのマルミミゾウがいると推測されています。バイの水場に、子供を連れたメスのゾウや、単独で行動することが多いオスゾウなどが現れました。普段は森で暮らし、見つけることが難しいマルミミゾウの姿をしっかり撮影することができたのは、開けた空間のバイだからこそです。

──どうして密林の中にバイのように木のない場所があるのでしょうか?

小澤:マルミミゾウは、ミネラルを摂るために土や泥を食べるのですが、ミネラルが豊富な川沿いの場所に集まってきたゾウが長年踏み歩き続けたことで、大きな植物がなくなり湿地となったのです。バイには、水場を中心にゾウが通った跡が網目のように残っています。

バイの水場に姿を見せたマルミミゾウの親子。長年にわたってゾウが集まり踏み歩いた結果、こうしたバイが出来上がったのです。

──ゾウが作った湿地とは、不思議な場所ですね。観察小屋ではどのように過ごしたのですか?

小澤:観察小屋の3階にテントを張って、動物が現れたらすぐに撮影できるよう三脚とカメラもセッティングしました。朝昼晩の食事も手早く済ませられるように、お湯を注いで食べる登山用の食料やレトルトカレーなど。動物の撮影のためなので仕方がありません。朝は鳥の鳴き声で5時ごろ目覚め、夜は食事を済ませて7時には寝ます。そんな中、夜、バイへ来たゾウが鳴き声を上げるのを聞きました。それも大絶叫です。森に響き渡る大音量だったのでかなり驚きました。

──夜中に大絶叫は恐ろしいですね。ゾウはどうして暗闇の中で大きく鳴くのでしょうか?

小澤:ゾウに体当たりでもされたら小屋は簡単に壊れるのでビビりながら寝ていました。夜にゾウが大きく鳴くのは、子どもを連れたメスのゾウが森からバイに出る時に、自分の存在をほかのゾウに知らせるためでないかと考えられています。暗闇でゾウの姿は見えないのですが、深夜の大絶叫をぜひ聞いてください。

夜になると、暗闇の中でマルミミゾウの鳴き声がバイに響き渡ります。放送では、その不気味な大絶叫をぜひお聞きください。

──マルミミゾウの不思議な生態に迫る番組が楽しみです。最後に視聴者へのメッセージをお願いします。

小澤:イヴィンドゥ国立公園は、道路や宿泊施設などが整っておらずまだ観光で行くことはできません。今回はコーディネーターの方が以前ガボンの国立公園で働いていたため現地とつながりがあり、特別な撮影許可を得ることができました。日本のテレビでまだ紹介されたことがない中部アフリカの驚異の大自然、そして絶滅危惧種のニシゴリラ、マルミミゾウが湿地・バイで生き生きと暮らす姿をどうぞお楽しみください。

イヴィンドゥ国立公園の手つかずの大自然と、そこに暮らす動物たちの貴重な映像をお届けします。

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