特集

2024年3月24日放送「ヨーロッパの大温泉都市群」

スパ文化を楽しむヨーロッパの温泉めぐり

世界遺産「ヨーロッパの大温泉都市群」には、温泉保養地として発展を遂げた、ヨーロッパ7カ国11カ所の都市が登録されています。どのような温泉施設があり、街づくりがおこなわれてきたのかを、番組を担当した田口ディレクターに話を聞きました。

日本の温泉と何が違う?ヨーロッパのスパ文化

ヨーロッパの各地にある「温泉都市」。単に「温泉がある街」というだけでなく、そこには各地で共通する文化があります。

──今回の世界遺産は「ヨーロッパの大温泉都市群」ということですが、「温泉都市」とはいったいどのような場所なのでしょうか?

田口ディレクター(以下、田口):ヨーロッパ7カ国11カ所に点在する、「スパ」などの温泉保養施設を中心として発展した都市です。温泉で発展したと聞くと、日本の熱海や別府といった、いわゆる「温泉街」を思い浮かべて、そのヨーロッパ版と思われるかもしれませんが、それとは街の成り立ちが異なります。

──どのように異なるのでしょうか?

田口:それぞれの都市には入浴施設だけでなく、庭園やホテル、劇場、カジノなどがあるのが特徴です。18世紀からさまざまな施設が作られ、多くの王族、貴族や文化人などが長期滞在する、上流階級の社交場となったのです。今回の番組では、そういった特徴を見られる3つの世界遺産の温泉都市、ドイツのバーデン=バーデン、イタリアのモンテカティーニ・テルメ、チェコのカルロヴィ・ヴァリを紹介します。

「ヨーロッパの大温泉都市群」に登録された7カ国11カ所のうち、今回の番組ではバーデン=バーデン(ドイツ)、モンテカティーニ・テルメ(イタリア)、カルロヴィ・ヴァリ(チェコ)の3つの都市を紹介します。

──上流階級の社交場とは、確かに日本の温泉街とは違いますね。具体的にはどのような街なのでしょうか?

田口:まずバーデン=バーデンは、ドイツ南部、フランス国境近くの針葉樹が密集する“黒い森”の中にある街です。古代ローマ時代から温泉が湧くことで知られた場所でしたが、19世紀以降、温泉を中心としたリゾート地としての街づくりが始まりました。ここでお見せするのは、およそ150年前に作られたドーム型の屋根を持つ温浴施設です。この施設はいまも現役で、訪れた人は、施設内にいくつもあるお風呂に決められたコースに従って入っていきます。そのコースの最後に、ドームの天井の下にあるお風呂があります。そこの撮影時は水着を着たモデルの方に入ってもらいましたが、通常、訪れた人は裸でお風呂を巡るのです。

バーデン=バーデンにある、ドーム型の屋根を持つ温浴施設。約150年前につくられたものですが、いまも現役で利用されています。

──いろいろなお風呂を巡るとは面白い施設ですね。

田口:この施設には、かつては王族や皇帝がお湯に浸かりにきたそうです。バーデン=バーデンにはそのほかにも、遊歩道と庭園、コンサートホールやカジノが入った複合施設、5つ星ホテルなどがそろっていて、温泉保養とエンターテインメントがセットになった街と言えます。こうした施設が備わっていることが温泉都市の特徴の1つで、バーデン=バーデンはその代表例なのです。

バーデン=バーデンでは、19世紀から温泉を中心とした街づくりが始まりました。上流階級向けに、高級ホテルや劇場、カジノなどがつくられました。

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