特集

2023年5月14日放送「スイスのサルドーナ地殻変動地帯」

アルプスの山々と密接に関わるスイスの暮らし

ダイナミックな地球の営みが確認できる「サルドーナ地殻変動地帯」。その山々と結びついた人々の暮らしがそこにはありました。

──サルドーナ地殻変動地帯では、マジックラインのほかにどんな景色が見られるのでしょうか?

新宅:番組では、スイスの山岳地帯のさまざまな景色をご紹介します。まず注目なのが、チンゲルホルンの峰に空いている大きな穴です。「マーティンという羊飼いが、巨人に襲われたときに羊を守るために投げた槍が山に刺さってできた穴」という伝説から「マーティンの穴」と呼ばれています。穴の直径は15m以上もあり、そこをドローンで通り抜けて撮った映像はぜひご覧いただきたいです。

──巨大な穴を通り抜ける映像は迫力がすごそうです。

新宅:マーティンの穴を通った朝日が、麓の町エルムにある教会を照らす日が年に2度、春と秋にあるのですが、取材したのは秋で、まもなく教会に朝日が当たるという時期でした。この地方の「牛を山からおろす」という秋祭りが催されていて、カメラに収めることができました。アルプスでは夏の間は山の牧草地で牛を育てています。その牛たちを、冬を迎えるために山から麓におろすパレードが催されるのです。カウベルを鳴らしながら練り歩く牛たちをご覧ください。

この地域では、夏の間、山で放牧していた牛を、山からおろす祭りが秋に行われます。

──暮らしが山とつながっている地域ならではのお祭りですね。

新宅:ほかにもこの地域独特の風景として、鉱山跡の坑道も紹介します。「スレート」と呼ばれる、屋根などの建材となる岩を切り出していた鉱山なのですが、マジックラインの下側、「海由来の新しい地層」にあたる部分で、魚などの化石も見つかっています。その坑道は奥行きが数百mにも及び、その広大な空間には圧倒されます。

スレートと呼ばれる、建材などに使われる岩を切り出していた鉱山。「スレート屋根」の建物は、今でもこの地域で見ることができます。

──山々の頂から地下空間まで、さまざまな風景が見られる放送が楽しみです。ところで新宅ディレクターは、今回が初めての世界遺産ロケと聞きました。取材を終えての感想を聞かせてください。

新宅:実は、海外ロケも初めてで、またヘリに乗っての撮影も初でした。個人的な話で恐縮ですが、ヘリの空撮の日がちょうど私の誕生日で、いい思い出になりました。取材直前に降った雪でマジックラインが隠れてしまったり、空撮のためのヘリの到着が遅れたり、予定通りに行かず緊張することもありましたが、結果として、美しい氷河湖や雲海に沈む夕日などといった絶景をカメラに収めることができました。番組をご覧になってアルプスの素晴らしさを感じていただけば嬉しいです。

スイス・アルプスのさまざまな美しい景色をお届けします!

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