特集

2023年1月8日放送「白川郷・五箇山の合掌造り集落」

人々が暮らす世界遺産 合掌造りの内部に迫る

厳しい環境での暮らしから生まれた合掌造り。迫力のドローン映像で、その内部をお見せします。

──世界遺産登録の基準にもなっている「白川郷・五箇山の合掌造り集落での生活」とはどのようなものなのでしょうか?

内田:合掌造り集落は、実際に今も人が住んでいる世界遺産なのです。さきほどお話ししたように、豪雪地帯なのでそうした環境に適応した暮らしが今も営まれています。番組では、その合掌造りの中の様子がよくわかる特別な映像をお見せします。

──どんな特別な映像なのでしょうか?

内田:今回は許可をいただき、小型ドローンを飛ばして合掌造り内部を撮影することができました。1階の囲炉裏端から4階の屋根裏までワンカットでお見せするというスペシャルな映像が撮れましたので、ぜひご覧ください。

小型ドローンで撮影した合掌造り内部のワンカット映像は必見。これを見ると、建物の構造がよくわかります。

──ワンカットとは、すごいですね。楽しみです。

内田:もう1つ、合掌造りの内部で見ていただきたいのは、天井の梁に曲がっている木材が使われているところです。豪雪地帯であるこの地域には、山の斜面に根が曲がっている木が生えています。根が曲がった木の上にも、2m以上雪が積もることがあり、そうして雪に耐えた「根曲り」の木は十分な強度があるため、梁に適しているのです。

──普通は曲がっていると材木としては使いづらそうですが、それを生かした建築なのですね。

内田:そのほかにも、釘やかすがいを使わず縄などで結ばれた木材がただ置かれているだけの柔軟な構造や、日当たりや風通しを考慮した建物の向きなど、環境に適した合理的なものになっているのです。

──厳しい環境から生まれたのが合掌造りなのですね。

内田:集落での暮らしは相当厳しいものだったようで、かつては集落からどこに行くのにも道がほとんどありませんでした。江戸時代よりも前に作られた街道の一部は石畳が敷かれているところがありますが、途中には難所の峠もありました。冬の間は特に危険で、雪崩で命を落とす人が出た谷は「人喰い谷」と呼ばれたほどです。道が整備される、ほんの50年ほど前まで、大変な苦労をして暮らしていた辺境の地でした。番組をご覧になって、そんな合掌造り集落のかつての暮らしを感じていただければいいなと思っています。

トンネルなどの道路が整備されるまでは、集落と金沢などの街の行き来には険しい山道を通るしかありませんでした。

──最後に視聴者の皆さんへメッセージをお願いします。

内田:取材前までは白川郷・五箇山というと、雪景色のイメージが強かったのですが、1年間取材をしてみると、冬だけでなく春、夏、秋もそれぞれに美しい風景が見られる土地だということがよくわかりました。撮影は天候に恵まれたおかげもあって、どの季節でも素晴らしい絶景をカメラに収めることができました。新年初めの番組で、どこか懐かしい日本の原風景をぜひお楽しみください。

2023年最初の番組となる「白川郷・五箇山の合掌造り集落」。美しい日本の原風景をご覧ください。

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