特集

2022年7月31日放送「アントニ・ガウディの作品群」

空から捉えたガウディの傑作建築

今回取り上げるのは、スペインの文化遺産「アントニ・ガウディの作品群」です。「サグラダ・ファミリア贖罪聖堂」をはじめとする傑作建築を、空撮映像をふんだんに使ってご紹介します。番組を担当した田口ディレクターに話を聞きました。

サグラダ・ファミリアを生んだ“未完の傑作”

ガウディの傑作の数々を空から捉える今回の番組。まずはサグラダ・ファミリア贖罪聖堂をさまざまな角度からご紹介していきます。

──アントニ・ガウディというと、スペインを代表する著名な建築家ですが、その作品が世界遺産に登録されているのですね。

田口ディレクター(以下、田口):はい、バルセロナとその近郊にあるガウディの作品7つが世界遺産に登録されています。今回は、そのうち5つを取材しました。この取材では、コロナ禍による海外取材の制限が緩和され、2年ぶりに現地でのディレクションができました。番組では、ヘリコプターやドローンを駆使した空撮映像をふんだんに使ってガウディの作品を紹介します。

バルセロナの新市街に建つ「サグラダ・ファミリア」。建築家アントニ・ガウディの代表作の1つとして、生誕のファサードと地下聖堂が世界遺産に登録されています。

──現地で立ち会っての久しぶりの海外撮影ということですね。どんな映像が番組では見られるのでしょうか?

田口:ガウディの代表作と言えば「サグラダ・ファミリア贖罪聖堂(以下、サグラダ・ファミリア)」が挙がると思いますが、そのサグラダ・ファミリアの撮影経験が豊富な現地スタッフの協力の下、素晴らしい映像を撮ることができました。実は世界遺産に登録されているのはサグラダ・ファミリア全体でなく、「生誕のファサード」と呼ばれる東向きの塔と門、あとは地下聖堂といった、ガウディが生前に直接関わった部分に限られています。生誕のファサードをドローンで撮影した映像を見ると、さまざまな形状をした多くの彫刻で飾られていることがよくわかります。あと、ヘリコプターと望遠レンズを組み合わせることで、バルセロナの街のどういった場所にサグラダ・ファミリアなどが建っているのかがひと目でわかる映像も撮影してきました。

ガウディの“未完の傑作”である「コロニア・グエルの地下聖堂」。建物の土台となるはずだった地下聖堂だけで、計画されていた教会は建てられていませんが、その設計手法はサグラダ・ファミリアにも用いられました。

──サグラダ・ファミリアをいろいろな角度から見ることができるのは楽しみです。

田口:サグラダ・ファミリアの設計と関連していると言われる作品が「コロニア・グエルの地下聖堂」です。計画当初は高さ30mの教会が建つ予定でしたが、実際には土台部分の地下聖堂しか作られていない未完の作品です。特徴的な柱やアーチ構造の天井を備えている土台部分は、その上に建つはずだった塔を支えるための構造実験によって考案されたものでした。このような独特な建築を実現可能にするために、地下の土台に伝統的なスタイルを取り入れている例は、サグラダ・ファミリアの地下聖堂など、ガウディのほかの作品にも見られます。番組では、ガウディの墓があるサグラダ・ファミリアの地下聖堂も紹介します。

巨大な建物を支えるために太い柱を持つ、サグラダ・ファミリアの地下聖堂。ガウディの墓は、この大聖堂の根幹とも言える場所にあります。

──サグラダ・ファミリアを支える地下にガウディが眠っているとは、感慨深いですね。

田口:ガウディの没後、引き継がれたサグラダ・ファミリアの建設は現在も続いています。コロナ禍の影響で2026年に予定されていた完成に遅れが生じていますが、2021年12月には高さ138mの「聖母マリアの塔」が完成し、話題になりました。そうした現在のサグラダ・ファミリアの姿も番組ではお見せします。

現在も建築が進められているサグラダ・ファミリア。2021年12月には、高さ138mの「聖母マリアの塔」が完成しました。

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