特集

2022年5月1日放送「グレート・バリア・リーフ」

海面上昇でできた島々の絶景

グレート・バリア・リーフには、形や様子が異なる島が数多くあります。さまざまな特徴を持つ島々をご紹介します。

──グレート・バリア・リーフには本当にいろいろな絶景があるのですね。番組のほかの見所はどんなところでしょうか?

江夏:グレート・バリア・リーフというとサンゴ礁のイメージが強いかもしれません。しかし、そのエリアには950もの島々があります。さきほどのホワイトヘブン・ビーチがあるのもそうした島の1つです。その成り立ちなどによって様子が異なる島々を番組ではご紹介します。

──どのように成り立ちが異なるのでしょうか?

江夏:1つは、砂が潮の流れでサンゴ礁の上に堆積してできた、平坦な土地の島です。その砂はサンゴや貝などがくだけたもので「サンゴ砂」と呼ばれています。サンゴ砂の島の中には、鳥が運ぶなどしてたどり着いた種子が芽吹いて緑に覆われたものもあります。一方、起伏に富んだ島もあります。こちらは、海面上昇で沈んだ沿岸部のうち、標高が高かった場所が残って島になったのです。このような起伏のある島は主に花崗岩でできています。

──ホワイトヘブン・ビーチの島は、サンゴ砂が堆積した島か、大陸の一部だった島のどちらですか?

江夏:ホワイトヘブン・ビーチのあるウィットサンデー島は、大陸の一部だった島です。このビーチの砂は、花崗岩に含まれる石英が細かい粒になり、それが潮で運ばれて堆積しました。地形や潮の流れなど、さまざまな条件が重なったことで絶景が生まれたのです。

サンゴや貝が砕けたサンゴ砂が堆積してできた島。砂でできた平坦な土地に植物が生い茂った島もあります。

──奇跡の絶景と言えますね。

江夏:さまざまな絶景を持つグレート・バリア・リーフがここにあるのは、そこに隣接するオーストラリア大陸の貴重な森が関係しています。この森は「クイーンズランドの湿潤熱帯地域」としてグレート・バリア・リーフとは別の自然遺産に登録されています。ここは、海と陸で自然遺産が接している珍しい場所なのです。

起伏に富んだ島は、海面が上昇して沈んだ大陸沿岸部の中で標高が高い場所が残ったものです。こうした島は主に花崗岩でできています。

──その森とグレート・バリア・リーフにはどのような関係があるのでしょうか?

江夏:クイーンズランドの湿潤熱帯地域の森は、海岸のぎりぎりまで広がっています。この豊かな森があることで、土砂が海に流れ込んで海が濁ることを防いでいます。澄んだ海はサンゴ礁の成長に欠かせませんので、サンゴ礁はこの森によって守られているのです。

グレート・バリア・リーフに面したオーストラリア北東部にある自然遺産「クイーンズランドの湿潤熱帯地域」には、珍しい動物たちが住む豊かな森が広がっています。

──さまざまな要因が重なって、グレート・バリア・リーフという大自然が存在しているのですね。最後に視聴者の皆さんへメッセージをお願いします。

江夏:お話ししたように今回はとにかく、グレート・バリア・リーフの空撮にこだわりました。特別な機材を使ってのヘリコプター撮影の映像はどれも滅多に見ることのできない絶景です。ご覧いただいた皆さんがオーストラリアに行ってみたくなるようなシーンが満載ですので、お楽しみください。

オーストラリア北東部の、そこでしか見ることのできない絶景の数々をお楽しみください。

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