特集

2021年11月14日放送 特集「エオリエ諸島」

火山が生んだ純白の谷の絶景

エオリエ諸島では、迫力の噴火だけでなく、太古の噴火によって生まれた純白の岩による不思議な地形も見ることができます。

──ストロンボリ島以外の見所を教えてください。

江夏:番組では、エオリエ諸島最大の島、リパリ島も取り上げています。この島では現在、活発な火山活動はないのですが、噴火でできた島であることを示す、白い岩がむき出しになった山があります。この白い岩はマグマが冷えて固まった軽石で、古代ローマの時代から切り出されて建材として利用されてきました。番組では、軽石の山が侵食されてできた谷をご紹介します。両側が純白の崖で挟まれた不思議な空間をドローンで通り抜けて撮った映像は必見です。

リパリ島の純白の谷。白い岩は軽石で、古代ローマの時代から建材として利用されていました。

──純白の谷の空撮映像とは見逃せませんね。リパリ島では活発な火山活動はないということですが、ストロンボリ島のほかに火山活動が現在観察できる島はあるのでしょうか?

江夏:英語の火山「ボルケーノ(Volcano)」の語源であるブルカーノ島も今回撮影しました。ストロンボリ島とは異なり、こちらはマグマの粘り気が強い火山なのです。粘り気の強いマグマの場合、ひとたび噴火すると火山灰や火山弾を爆発的に噴出させます。

リパリ島から望んだブルカーノ島とその巨大な火口。「ブルカーノ」は英語の火山の語源であることでも知られています。

──それは恐ろしいですね。現在のブルカーノ島はどのような様子なのでしょうか?

江夏:最後の大噴火は100年以上前なのですが、火山活動が活発であることは確認できます。火口付近には火山ガスが立ち上っていて、そのガスの吹き出し口の周りには硫黄などが結晶化しています。いったいいつ次の大きな噴火が起きるかは判然としませんが、世界中の火山研究者がこの火山の謎を解明しようと試みているそうです。

火山ガスが噴き出ているブルカーノ島の火口付近。ガスの吹き出し口には、黄色い花のように結晶化した硫黄も見られます。

──ひとくちに火山島と言ってもエオリエ諸島ではさまざまな姿を見ることができるのですね。

江夏:番組ではほかにも、山の斜面を流れる溶岩や、海底の噴火口から噴き出す火山ガスなど、さまざまな火山活動をお見せします。今回の撮影は、エオリエ諸島のことをよく知る現地のスタッフが担当しています。おかげで素晴らしいシーンをたくさんカメラに収めてきてくれました。リゾート地としても有名なエオリエ諸島の美しい景色と、めったに見ることができない火山の姿をたっぷりお届けしますのでお楽しみください。

青く透き通った海とさまざまな火山活動が織りなすエオリエ諸島の絶景をお届けします。

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