特集

2021年8月29日特集 奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島「沖縄島北部と西表島」編

ひっそりと咲く希少な花とダイナミックな秘境の絶景

島々の独特の環境が育む希少な生物と、自然が生み出した絶景。そんな、奄美大島と徳之島ならではの魅力をお届けします。

──この島々でしか見ることのできない動物のお話をうかがいましたが、番組では珍しい植物も見られるのでしょうか?

北原:はい。アマミセイシカやアマミスミレといった奄美大島固有の植物を紹介します。いずれも、絶滅危惧種として保護されている植物です。アマミスミレは、日本最小のスミレで比較のために指と一緒に撮影しました。その小ささに驚くと思います。徳之島では、トクノシマカンアオイという植物を撮影しました。徳之島の最高峰である井之川岳を登る険しいルートで見つけることができた希少な植物です。

奄美大島の固有種、アマミスミレ。花の大きさがわずか1cmで日本最小のスミレです。

徳之島でしか見ることのできないトクノシマカンアオイ。太古に島が大陸と地続きだったことを示す種と言われています。

──見たことのない植物ばかりで放送が楽しみです。他にどんな見所がありますか?

北原:世界遺産のエリア内ではないのですが、地元徳之島では「ウンブキ」と呼ばれる日本最大級の水中鍾乳洞も見所です。この鍾乳洞は、石灰岩が長い年月をかけて溶けてでき、その後に海面の上昇によって水中に沈んでできました。その水中撮影では、たけのこのように伸びた鍾乳石や、水中なのに波打って見えるハロックラインという現象を撮影できました。ハロックラインは、海水と淡水の境目に起きる現象で、ウンブキが海とつながっていることの証です。この鍾乳洞はおよそ7000年前に水中に沈んだと考えられていますが、まだ詳しいことはわかっていません。

徳之島にある水中鍾乳洞、ウンブキ。その中には神秘的な空間が広がっていました。

──徳之島にはそんな知られざる秘境もあるのですね。

北原:奄美大島にもまだあまり知られていないスポットがあります。森の奥にある「タンギョの滝」は、落差が100m以上あって九州一と言われます。ただし、まだ正確に計測されたことがないため、正式に認定されていないという秘境の滝です。岩だらけの渓谷の奥にあり、その岩を乗り越えたり川を横切ったりしないと近づけません。苦労してたどり着いて撮影した迫力の映像をご覧ください。

公式には認定はまだされていませんが、九州一の落差と言われるタンギョの滝。ガイドブックに載っていない秘境の滝です。

──新しく世界遺産になった島々の大自然に迫る番組、見逃せませんね。最後に視聴者の皆さんへメッセージをお願いします。

北原:奄美大島と徳之島の取材は、世界遺産登録への推薦が進んできた2017年ごろから始めました。コロナ禍の影響もあって延期され、今年やっと登録されました。故郷の自然の価値が世界に認められたということで地元の人たちの喜びもひとしおです。番組を通じて、同じ日本でありながらまったく違う植生や動物の生態、ダイナミックな景観など、日本の南の端の小さな島々の魅力を多くの人へ届けられたらと思っています。

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