特集

2021年8月29日 奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島「奄美大島と徳之島」編

島の豊かな自然に育まれたここにしかいない生き物たち

2021年7月、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」が日本で5番目の自然遺産に登録されました。番組では「西表島と沖縄島北部」編と「奄美大島と徳之島」編にわけて2週連続でたっぷりとこの新しい世界遺産を紹介します。後編の「奄美大島と徳之島」編を担当したJNN系列の鹿児島・南日本放送の北原ディレクターに話を聞きました。

「生きた化石」の愛情溢れる子育て

「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」が新しく自然遺産に登録されました。ほかでは見られない希少な生き物を紹介します。

──新しく自然遺産に登録された「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の「奄美大島と徳之島」編ということですが、まず奄美大島と徳之島はどんな島なのでしょうか?

北原ディレクター(以下、北原):奄美大島と徳之島は、九州の南の海に浮かぶ島で、鹿児島県本土と沖縄の中間に位置します。前編の「沖縄島北部と西表島」編でも紹介されている通り、多くの絶滅危惧種を含む、ここにしかいない動植物が生息しているという「生物多様性」が認められて自然遺産になりました。

複雑に入り組んだリアス海岸と高い山を持つ奄美大島。黒潮の影響で降水量が多く、水と緑が豊かな島です。

徳之島も、奄美大島と同様に高い山があったため、長い年月の間に海面が変動しても固有の生き物たちが生き延びることができました。

──ここにしかいない動植物とは、どんな生き物でしょうか?

北原:最も象徴的な動物が、アマミノクロウサギです。奄美大島と徳之島にしかいない固有種で、原始的なウサギの特徴が見られることから「生きた化石」とも呼ばれています。夜行性で警戒心が強いことから、撮影が難しく、その生態もまだ謎が多いのです。番組では、奄美大島在住の写真家である浜田太さんに協力いただきました。

──謎の多い「生きた化石」のどんな様子が見られるのでしょうか?

北原:名前の通り黒い毛をしたウサギで、ウサギなのに耳が小さいという特徴を持っています。番組で特に注目していただきたいのが、子育ての様子です。親は子育て用の巣穴を別に作って、授乳させる時だけやってきて、乳を与え終わったら巣穴にふたをして帰っていきます。ハブなどの外敵から子どもの身を守るためと考えられています。雨の中、子どもを庇うようにして乳を与える母ウサギの愛情あふれるシーンをお見せします。

ウサギなのに耳が短いという特徴を持つアマミノクロウサギ。赤ん坊ウサギをハブから守るため、別の巣穴を作って育てます。

──アマミノクロウサギがそんなふうに子育てをするとは驚きです。ほかにはどんな動物が登場するのでしょうか?

北原:奄美大島、徳之島、沖縄島でそれぞれ種が異なるトゲネズミという齧歯類が生息しています。このネズミは、ハブから身を守るため、高くジャンプできる脚力を持っていて、非常にすばしっこいのです。本当にカメラマン泣かせで、このネズミを狙って5回ほど夜の徳之島で撮影してやっと映像に収めることできました。何度も夜の森に行ったおかげで、アマミヤマシギやリュウキュウコノハズクといった鳥や、ピンク色の縞模様を持つヤモリのオビトカゲモドキなども撮影できました。

──地元の放送局ならではの粘り強い取材による貴重な映像が見られるのですね。

北原:ほかにも、「日本で一番美しいカエル」と言われるアマミイシカワガエルや、美しい瑠璃色の羽を持つルリカケスといった珍しい生き物を紹介します。ぜひご覧ください。

トゲネズミやオビトカゲモドキ、アマミイシカワガエルなど、島の環境に適応した種が多数生息しています。

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