特集

2020年3月1日「ニューカレドニアのラグーン」

天国に一番近い島 海に沈んだ大陸の謎

南太平洋に浮かぶ島国、ニューカレドニア。その島々の周りを囲む、広大なサンゴ礁が今回の世界遺産です。美しい海はもちろん、奇妙な形をした岩や、ここでしか見られない珍しい生き物などを4Kで撮影してきた日下ディレクターに話を聞きました。

世界最大のラグーンと奇岩が生んだ不思議な光景

ニューカレドニアの周囲に広がるラグーンに潜り、神秘的なサンゴの姿に迫ります。さらに、島々の各所にある奇岩もご紹介します。

──まずは今回の世界遺産「ニューカレドニアのラグーン」について教えてください。

日下ディレクター(以下、日下):ニューカレドニアは南太平洋の島国で、本島であるグランドテールと周囲の島々からなります。これらの島を取り巻いている巨大なサンゴ礁が自然遺産となっています。

──ニューカレドニアといえばかつて、映画のロケ地になり、リゾート地としてブームになった印象が強いです。そのときからは数十年経っていますが、現在の様子はいかがでしょうか?

日下:魅力的なビーチは健在です。今回の取材では、ニューカレドニアのさまざまな自然を撮影してきましたが、美しい海の映像も番組の見所の1つとなっています。特にドローンで撮影したラグーンの絶景は必見です。

ラグーンとは、サンゴ礁によって作り出された浅瀬のこと。ニューカレドニアのラグーンは世界最大の面積を誇ります。

──空からの絶景映像は楽しみです。そのほかにラグーンの映像はどんなものが見られますか?

日下:もちろんダイビングによる撮影も行ってきました。グランドテール北東にあるポワンディミエの沖には、サンゴ礁が2重になっているダブルリーフがあります。そこにあるサンゴは、ほかでは見られないほど大きく成長していて、数も多いのです。ニューカレドニアの海を知り尽くした現地のダイバーの協力を得て、とっておきのダイビングポイントで撮影ができました。また、年の一度、満月の夜に捉えた、サンゴの産卵の様子もお見せします。こうして育ってきたサンゴによって出来上がったのが、この世界最大のラグーンなのです。

成長したサンゴ。こうしたサンゴが長い間積み重なってサンゴ礁になります。

ニューカレドニアでは11月の満月の夜に起こる、年に一度のサンゴの産卵。神秘的な光景です。

──今回さまざまな自然を取材してきたということですが、どんな場所の映像が見られるのでしょうか?

日下:まず、グランドテール東の沖に浮かぶウベア島にある「レキンの断崖」です。ここは、土地が隆起してできた崖で、高さ40mにもなっています。サンゴ礁が石灰岩となって陸上に姿を現した光景は、地殻変動によってできたものなのです。レキンの断崖があるオーストラリアプレートと、太平洋プレートがぶつかっていて、いまでも少しずつ隆起しているということです。また、グランドテールのヤンゲンにも奇妙な岩の景色があります。5000万年前の浅い海でできたサンゴ礁が石灰岩となり、地殻変動で隆起してできた岩山で、尖った岩がたくさん集まった様子は圧巻です。

ウベア島にある「レキンの断崖」。土地が隆起した結果、サンゴ礁が海面の上に現れています。

グランドテールのヤンゲンにある、尖った岩が連なる景色。海底でできた石灰岩が隆起してできた地形です。

──ニューカレドニアは、日本と同じようにプレートが合わさった場所にある島国なのですね。

日下:はい、そうした大地の活動が、地上だけでなく海中に生み出した地形も撮影してきました。グランデールの南端部は、ニッケルとマグネシウムを含んだ赤い大地の景色が美しい場所なのですが、ここにあるプロニー湾に世界的に珍しいものがあります。それは、海中にそびえ立つ天然のタワーです。海底から高さ38mにもなり、タワーの下のほうは岩がヨーロッパの大聖堂にある尖塔のような形をしています。

ブロニー湾の海中にそびえ立つタワーのような岩山。海底に湧き出した温泉によって出来上がった不思議な光景です。

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