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アゼルバイジャン、バクー第43回世界遺産委員会リポート

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7月5日(金) バクー世界遺産委員会リポート 第二回

 いよいよ新しい世界遺産を決める審議が始まりました。候補として各国からノミネートされているのは自然遺産5、文化遺産28、複合遺産2で計35件です。審議は自然遺産→複合遺産→文化遺産の順番で行われます。

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会議中の世界遺産委員会

 まず最初に世界遺産になったのは、中国の自然遺産「中国の黄海-渤海湾沿岸の渡り鳥保護区群」。世界最大級の干潟で、特に貴重な渡り鳥がやってくることが評価されました。
 次に自然遺産に決まったのが、イランの「ヒルカニアの森林群」。カスピ海南岸に850キロに広がる広大な森で、特にペルシャヒョウの貴重な生息地となっています。
 フランスの「フランス領南方・南極地域の土地と海」も自然遺産に登録されました。これはインド洋南方に点在するフランス領の島々(クローゼー諸島、ケルゲレン諸島など)で、大陸から遠いため開発されておらず、オウサマペンギンとキバナアホウドリの世界最大級の生息地とのこと。
 もうひとつ自然遺産になったのが、アイスランドの「ヴァトナヨークトル国立公園-ダイナミックな火と氷の自然」。140万ヘクタールもある広大な火山地帯で、アイスランドで最も活発な火山が二つもあります。さらに氷河の下にある火山も多く、その噴火が氷河を溶かし大規模な洪水を起こすなど、まさにダイナミックな自然です。
以上4つが新しい自然遺産。

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中国の黄海−渤海湾沿岸の渡り鳥保護区群

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ヒルカニアの森林群(イラン)

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フランス領南方・南極地域の土地と海

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ヴァトナヨークトル国立公園 −ダイナミックな火と氷の自然
(アイスランド)

 つづいて複合遺産になったのがブラジルの「パラチーとグランデ島-文化と生物多様性」。大西洋岸の町パラチーはアフリカからの奴隷、南米からヨーロッパへの金の運搬に使われた港で、その文化的景観が文化遺産として認められました。一方、大西洋岸の森林保護地域をふくみ、そこは絶滅が危惧されるジャガーなど貴重な生き物の生息地となっていることから自然遺産としても認められました。

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パラチーとグランデ島 −文化と生物多様性(ブラジル)

 文化遺産はふたつが決まりました。
ひとつがブルキナファソの「ブルキナファソの古代製鉄遺跡群」。古代アフリカでどうやって鉄を作っていたのかを伝える遺跡で、今回、アフリカから唯一ノミネートされていた遺産です。決まった瞬間、ブルキナファソの代表団は大喜びでした。
 もうひとつがイラクの「バビロン」。メソポタミアの古代都市の遺跡で、古代七不思議のひとつ「空中庭園」で有名です。ただ相次ぐ内戦などの影響で崩壊が進むなど、保全状況が良くないことから危機遺産に指定するべきとの意見もありましたが、それは見送りとなりました。イラク代表団も登録が決まった瞬間、全員、総立ちになってVサイン。今回の登録をイラク復興の足掛かりにしたいという思いが伝わってきました。

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ブルキナファソの古代製鉄遺跡群(アフリカ)

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登録が決まって喜ぶブルキナファソ代表団

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バビロン(イラク)

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登録が決まって総立ちになるイラク代表団

 この日は、すでにある世界遺産の範囲を広げる「拡張登録」も一件ありました。 マケドニアの複合遺産「オフリド地域の自然・文化遺産」を隣国のアルバニアまで広げるというもので、アルバニアにとって初の複合遺産誕生となりました。

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オフリド地域の自然・文化遺産(マケドニア)

明日6日も文化遺産の審議が続きます。審議順だと日本の「百舌鳥・古市古墳群」の審議も行われる見通しです。

プロデューサー 堤

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