特集

乾いた大地と雨の森──2つの異なる世界

新春スペシャル オーストラリア大陸 I・II 2016年1月10日、17日 2週連続放送

  • 2016年1月10日放送 伝説のマンタと赤と黒の奇岩
  • 2016年1月17日放送 青い谷と南極からのクジラ
  • 藤原竜也さんスペシャルインタビュー

青い谷と南極からのクジラ

オーストラリアの東海岸は湿潤な気候。緑豊かな森が広がっています。そこにはシダやナンキョクブナ、原始的なほ乳類である有袋類など、太古の地球の姿が、さまざまな形で残っていました。

──第二夜は、打って変わって緑が豊かな東海岸です。東海岸には、さまざまな自然遺産がありますね。

尾賀:そうですね。まず太古の地球の姿を見られる場所、グレーター・ブルー・マウンテンズ地域。そして緑豊かな東海岸を象徴するゴンドワナ雨林やクイーンズランドの湿潤熱帯地域。さらに海に目を向けて、全長2000kmという世界最大のサンゴ礁、グレート・バリア・リーフや、世界最大の砂の島であるフレーザー島などにも注目します。

東海岸の旅は船の上から始まりました。文化遺産であるシドニーのオペラハウスは、海に浮かぶ帆船のような姿をしています。

──オーストラリア大陸は乾燥した土地が広がっていますが、東海岸だけが湿潤な気候になったのはどうしてなのでしょうか?

尾賀:総延長3500kmにも及ぶ、グレートディバイディング山脈が関係しています。簡単に説明すると、大陸の東側を南北に走る山々が海からの湿った空気を遮り、山の麓に雨を降らせるのです。これによって東海岸に温暖で湿潤な気候が生まれました。

グレーター・ブルー・マウンテンズの大峡谷を眺める藤原竜也さん。そこからの光景が強く印象に残ったといいます。

──オーストラリア大陸の形状が、この豊かな環境を生み出したのですね。藤原さんが訪れた東海岸の世界遺産はどこですか?

尾賀:藤原さんが最初に訪れた世界遺産は、実は自然遺産ではなく、文化遺産として登録されているシドニーのオペラハウスです。海からその斬新なデザインの近代建築を見てもらい、その後にグレーター・ブルー・マウンテンズ地域に向かいました。ここは実は、シドニーから2時間ほどで行くことができるのです。しかし、その荒々しく雄大な自然は、藤原さんには相当インパクトがあったようです。

「スリーシスターズ」と呼ばれる3本の奇岩。浸食によって形作られた自然の芸術です。

──そのインパクトについては、インタビューでご本人にお伺いしましょう。グレーター・ブルー・マウンテンズにはどんな特徴があるのでしょうか?

尾賀:砂岩から成る渓谷です。3億年も前から堆積してきた砂が隆起してできた広大な台地が、風雨で削られることで形作られました。スリーシスターズと呼ばれる3本の奇岩が有名です。90種類ものユーカリが自生している場所で、ユーカリの葉から蒸発する揮発性の油分が空気中に漂い、太陽の光を反射して青く見えることからこの名が付きました。グレーター・ブルー・マウンテンズの砂岩が削られ長い年月をかけて河から海に流れ、海流によって1000キロも離れた場所に砂が堆積してできたのが、フレーザー島なのです。

グレーター・ブルー・マウンテンズの渓谷は、90種類ものユーカリが自生する場所でもあります。

──気の遠くなるような時間の流れを体感できる場所なのですね。地球の悠久の歴史を感じます。

尾賀:東海岸沿いの森は、太古の地球の姿を残す森と言われています。大昔の姿を色濃く残したシダなどの植物のほか、恐竜を思わせる姿のヒクイドリや、木に登る有袋類であるキノボリカンガルーなどの他では見られない固有種が生息しています。藤原さんと訪れた動物園では、ヒクイドリの卵を見せてもらいました。その色と大きさにはビックリしますよ。

東海岸の森が育てた美しいサンゴ礁の海は穏やかで、子育てのために南極海からミンククジラがやってきます。

恐竜を思わせる姿のヒクイドリ。その鮮やかな色の卵を見て、藤原さんもビックリしました。

  • 2016年1月10日放送 伝説のマンタと赤と黒の奇岩
  • 2016年1月17日放送 青い谷と南極からのクジラ
  • 藤原竜也さんスペシャルインタビュー