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「THE世界遺産」の裏側に迫る!ディレクター座談会

今回の「THE世界遺産」ウェブ特集は特別企画ということで、番組を担当するディレクターたちによる座談会をお届けします。同様の企画は、実に2年ぶり。普段は取材に出掛けているため、一同そろうことがなかなかないディレクター陣が集まる貴重な機会です。愛場、石渡、尾賀、小澤の4名のディレクターが出席。番組の作られ方や取材の裏話などをたっぷりご紹介します!

Q:まずは現場のディレクターの皆さんに番組づくりの裏側について語っていただきたいと思います。まず、どの世界遺産を番組で取り上げるかはどうやって決めているのでしょうか?

「THE世界遺産」の裏側に迫る!ディレクター座談会

尾賀:
取材場所を決めるラインナップ会議というのがあって、そこで決まります。でも、ディレクターは取材に行って出席できないこともありますね。

Q:ラインナップ会議ではどのように決められるのでしょうか?

尾賀:
プロデューサーとかディレクターが議論しながら、番組として取り上げる世界遺産を選んでいくのですが、最近は簡単にサイト(取材場所)を決めない、このサイトのどこに魅力があるのか徹底的に吟味して選んでいます。23時の放送時は「極端な話、登録されている世界遺産(現在936件登録)を全部やってやろう」というのりでしたが、最近は幅広い年代の方がご覧になる時間帯の番組として、なるべくわかりやすく、見せ場がどこにあるのか明確になった段階で撮影取材に出る、というように基準が変わってきています。

小澤:
アフリカに行くのであれば、3本撮って来ようといったふうに決めたりするので、思いつきで「ここやりたい」って言っても、取材の効率を考えると、ほかとの組み合せが上手くいかないことがあったりします。

Q:誰がどの世界遺産を担当するかは、どうやって決めているのでしょうか?

尾賀:
帰国していて空いているディレクターがいれば担当になっていきます。「THE世界遺産」の取材には「70日間ルール」というのがあって、取材からの帰国後、70日で編集を仕上げるようにして、ラインナップ会議に出られたら出ます。ディレクターは行きたい場所の希望を出しますが、なかなか通りません(笑)。

Q:なぜ「70日」なのですか?

石渡:
3本分取材してきたら、それを編集して番組として仕上げるのにはこれぐらいかかる、という経験則から「70日」にしているんです。

尾賀:
忙しすぎず、そんなに暇にならないためのシステムです。たまにロケ先が決まらなくて90日くらい日本にいるときがあります。そういうときは比較的じっくりと次の取材場所の勉強をすることができます。読むべき資料は限りなくありますから。

石渡:
でも、1本だけ撮ってきて、というパターンもありますね。僕の場合では最近ではバイカル湖がそうでしたね。急に予定が決まったりすることもあるのです。