特集

失われたアークとアクスム王国をめぐる謎

オベリスクの秘密

アクスム王国を知る手がかりという「オベリスク」とは、ヨーロッパの広場などに建てられている、あの石の柱ですか?

オベリスクの秘密

尾賀:はい。ヨーロッパにあるオベリスクは、エジプトをはじめとするアフリカの国から戦利品として運ばれたものなのです。アクスムには数多くのオベリスクが現存しています。一枚岩を削りだして作られており、細かな装飾が施されたものから簡素なもの、高かったり低かったりと、その様相は多種多様です。現在立っているもので最大のものは24mあります。実はこのオベリスクは、1937年にムッソリーニの命によってイタリアに持ち去られたものだったのですが、2005年にエチオピアに返還され、元の場所に戻されました。イタリア軍が持ち去る際、あまりの重さに3つに分けてしまったというほど巨大な石柱がそびえ立つ映像は圧巻です。

それほど巨大なものを、古代の人々はどうやって運び、立てたのでしょうか?

オベリスクの秘密

尾賀:それがオベリスクの大きな謎です。石切り場はアクスムから5kmほど離れた場所で発見されています。そこからどうやって運び、立てたのかは分かっていません。一説には、この地に生息したアフリカゾウを使ったとも言われています。番組では、その様子の解説もお見せします。



そもそもアクスムのオベリスクは何のために立てられたのでしょうか?

オベリスクの秘密

尾賀:倒れたオベリスクの足下を発掘したところ、人骨や副葬品が見つかり、アクスム王国の秘密に迫る貴重な資料となっています。それによると、オベリスクは王の墓だったようです。オベリスクそのものには窓やドアの彫刻が刻まれているものもあり、アクスム王国の人々は、オベリスクを死んだ王の魂の住むところと考えていたようです。

最後に、番組をご覧になる視聴者の方へメッセージをお願いします。

尾賀:エチオピアの人々は、巨大なオベリスクが現代まで立ち続けているのもアークのおかげだと信じている人がいるほど、その力を信じています。番組を通じて、アクスムの謎と人々の信仰に触れることで、古代に想いを馳せ、ロマンを感じていただけたらうれしいです。

世界遺産の歩き方

エチオピアの宿でお勧めなのが、一軒家を丸ごと借り切るホテル。キッチンが自由に使えるので、現地で調達した新鮮な食材で料理を作れる。また、ホテルの入り口では来場者に必ずコーヒーが振る舞われる、コーヒーセレモニーがある。コーヒーが名産のエチオピアらしいもてなしだ。