特集

失われたアークとアクスム王国をめぐる謎

謎の王国、アクスム

かつてアクスムにあった王国とはどのような国だったのでしょうか?

尾賀:アクスム王国は、かつてエチオピア一帯を治めた強大な国で、その中心地が現在のアクスムでした。しかしアクスム王国については謎が多く、紀元前2、3世紀にこの地に成立したということ以外の、細かい年代や発祥は分かっていません。

発祥からすでに謎があるのですね?

尾賀:そうです。紅海の近くにあったこの王国は、象牙や香料をヨーロッパに輸出することで栄え、最盛期の3、4世紀には古代ローマ帝国に匹敵するほどの国土を統治していました。4世紀に国王が広大なアクスム王国を効率的に治めるため、キリスト教に改宗し、広めたのです。

その王国がなぜ滅びてしまったのでしょうか?

謎の王国、アクスム
尾賀:これも詳しいことは判明していませんが、7世紀頃に衰退が始まり、9世紀にイスラム王国の侵攻を受け、滅びたようです。そして、これがアクスム王国にまつわる最大の謎なのですが、繁栄をきわめたにもかかわらず、大規模な宮殿などの遺跡が見つかっていません。発見されている遺跡もあるのですが、わずかなものです。


大規模な遺跡が見つからない理由は何なのでしょうか?

謎の王国、アクスム
尾賀:アクスム王国の遺跡は土の下に埋まっていると考えられています。その上に現在のアクスムの街があり、土地の専門家によると、遺跡の90%ほどはまだ埋もれているとのことです。このように謎に包まれているアクスム王国ですが、王国を知る手がかりになるのが「オベリスク」です。