特集

白川郷・五箇山の合掌造り集落

先人の知恵が詰まった合掌造り

かつての日本人の暮らしと伝統建築の美を持つ世界遺産「白川郷・五箇山の合掌造り集落(しらかわごう・ごかやまのがっしょうづくりしゅうらく)」。豪雪地帯のこの地には、厳しい環境だからこその「生活の知恵」や「歴史」、そして「人々の絆」がありました。白川郷・五箇山を一年にわたり取材した、地元富山のチューリップテレビの槙谷茂博、柴田恭子両ディレクターにお話を聞きました。

「白川郷・五箇山の合掌造り集落」の白川郷と五箇山とは、どんな場所なのでしょうか?

先人の知恵が詰まった合掌造り

槙谷茂博ディレクター(以下:槙) かつては庄川流域に、多くの合掌造りの集落があったのですが、いまは世界遺産に登録されている、白川郷と五箇山にしか残っていません。五箇山は富山県の南西、岐阜県との県境の山間地域の呼び名です。地図には記載されていませんがこの辺りはこう呼ばれています。ここには、相倉(あいのくら)と菅沼(すがぬま)という、2つの合掌造り集落が現存しています。白川郷は岐阜県にありますから、五箇山と合わせて2県をまたいだ世界遺産となっています。


そもそも「合掌造り」の「合掌」とは、手を合わせることを指す言葉だと思うですが、茅葺き屋根の建物がどうしてそのように呼ばれるのでしょうか?

先人の知恵が詰まった合掌造り

柴田恭子ディレクター(以下:柴) 合掌造りとは、手と手を合わせたときの腕が屋根のかたちに似ていることから、こう呼ばれるようになったと言われています。

似ているというのはどの部分ですか?

柴:こうする(顔の前あたりで手のひらを合わせる)と分かると思いますが、両手首から肘までの形がほぼ正三角形になりますね。この角度がちょうど合掌造りの屋根の角度に近い、という訳です。ただ、この屋根の傾斜角度、五箇山と白川郷とでは少し違うんですよ。

角度が違うというと?

柴:よく見ると白川郷の屋根より、五箇山のもののほうが角度が急で、ほぼ60度になっています。

どうして60度なのですか?

槙:この60度という角度は物理的に、上からも横からもかかる力に強い角度とされています。雪深いこの地で家が雪に押しつぶされないようにするために、この地に生きる人々の長年の経験から生まれた工夫です。雪質の軽い白川郷では傾斜が緩く、反対に水分を多く含んだ重い雪質の五箇山では屋根の傾斜が急になっています。

柴:屋根だけでなく、五箇山と白川郷は集落の雰囲気が異なります。観光設備が整っている白川郷と比べると、五箇山は集落の規模も小さく素朴な印象を受けるのではないでしょうか。番組では白川郷と五箇山、それぞれの雰囲気や合掌造りの違いを映像で感じていただけるでしょう。