特集

第33回世界遺産委員会報告

6月22日より、第33回世界遺産委員会がスペインのセビリアで行われました。その模様を世界遺産のスタッフが現地からレポートしていきます。 レポートは到着次第、特集ページにアップしていきますのでお楽しみに!

世界遺産委員会レポート

6月25日

朝の会議場は、水のカーテンに迎えられ、周りの空気がひんやりとして気持ちが良いです。

世界遺産委員会レポート
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さて、審議開始から3日目。今日は、2つのご報告があります。

「危機にさらされている世界遺産リスト」に登録されていた、アゼルバイジャンの「城塞都市バクー、シルヴァンシャー宮殿、及び乙女の塔」がリストから削除されました。バクーは、アゼルバイジャン共和国の首都で、城塞都市遺跡。12世紀に建設されたとされる城塞の内部には、楕円形の乙女の塔、15世紀建設とされるシルヴァンシャー宮殿などが残っています。2000年に世界遺産に登録されましたが、同年11月の大地震や、管理の不備などを理由に、2003年に危機遺産リストに登録されました。その後、保全計画が実施され、状況が改善されたため、今回の危機遺産リストから削除されました。

その一方、世界遺産リストから削除されたサイトがあります。3年前より世界遺産登録抹消を懸念されていた、ドイツの「ドレスデンのエルベ川流域」です。18世紀から19世紀の景観を残すドレスデンは、2004年に世界遺産に登録されましたが、その後、ドレスデン市街の渋滞緩和を目的とした橋の建設が持ち上がり、橋の建設が、登録理由である街の景観を損なうという理由で、世界遺産委員会として「顕著で普遍的な価値」は認められないという見解に至りました。

世界遺産リストからの削除は、「ドレスデンのエルベ川流域」で2件目となります。1件目は、オマーンの「アラビアオリックス保護区」が2007年の世界遺産委員会で世界遺産リストから削除されています。

シビアな審議が繰り広げられる世界遺産委員会ですが、会議場の外では、世界遺産申請候補地のパンフレットなどが置いてあり、登録へのアピールの場となっています。

デスク 横手直子