2016年4月期連続ドラマ毎週日曜よる9時放送

インタビュー

片桐仁さん(明石達也役)

現場に感謝

撮影に入るまでは、自分なりにいろいろ考えてたんです。登場人物の中での明石のポジションとか、ギャグの言い方とか。あと共演の皆さんから気を遣われたら嫌だな、言いたいことは言い合える関係がいいなとか。そうしたら、あれよあれよと言う間に皆さんからいじられ、僕が料理されてました (笑)
現場は、お芝居に関する真面目な話も雑談もとにかく多くて、いろんなことが自然発生的に湧いてくるんです。そういう環境の中で、長年の付き合いである深山と明石の関係性を自然に出していけるのはとてもありがたいですね。
1話の放送を見て思ったのが、このドラマって “半ナマ” っぽいなということ。撮影時の僕らの息遣いみたいなものがそのまま感じられたんで。正直、撮影してたときは 「こんなにアドリブが多くて大丈夫?」 と思ったんだけど、しっかりした台本があって、監督はアドリブをどう生かすかまで全部考えた上で OK を出してたんだなと。いろんなことがその場その場のチームプレーで生まれていく、そういうドラマ作りがすごく新鮮ですね。

役作りは自然体

ドラマが放送されて、本当にたくさんの友人知人から連絡をもらいました。とくに多かった意見が 「片桐、芝居してないでしょ。まんまだね」 って (笑)。実際に明石とは共通するところが多いし、変に作り込むよりもできるだけ自然体でいたいと思っています。
弁護士やパラリーガルの仕事に関しては、事前に雑誌の連載企画と絡めて、知り合いの弁護士さんに取材に行ったんです。そのときに一番強く感じたのが、弁護士も検事も人間なんだということ。それぞれに正義があって、仕事への強い責任感もある。その仕事が人一人の人生に関わることだからストレスが半端ないだろうなと。まさにドラマのセリフと重なるような言葉も聞きましたし、本当に刑事事件を通した人間ドラマがあるんだと感じて、勉強になりました。『99.9』 はそういうリアリティと、笑える面白さの両方を持ったドラマなんですよね。

明石のプライド

明石はパラリーガルとして、けっこういい働きをしてますよね。でも、弁護士になることは絶対にあきらめないでしょうね。彼は深山のことを弁護士としては尊敬してるけど、自分の方が10歳も上でアニキみたいな気持ちでいると思うんです。だからそこだけは譲れない。もしもあきらめたら完全に深山の下になってしまいますからね。弁護士を目指し続けるのは、明石のプライドです!
一方で、深山が集団になじまないことをよく知ってるから、最初は斑目法律事務所に入ってうまくやっていけるかなって思ってたと思うんですよ。でも、言いたいことを言って佐田や彩乃とぶつかりながらも、なんだかうまくいっている。だから、明石としては内心、ちょっとホッとしています。そういうシーンはありませんけど、たぶん (笑)

芸術家、片桐仁

ドラマの小道具として、僕の粘土作品をいろいろ使っていただいています。普段から使っている 「カレイ Phone」 を本読み (台本の読み合わせ) のときに持って行ったら、木村監督を始め皆さんが面白がってくださって 「これ、出そうよ」 ってなって。他の作品も明石のデスク回りに置いていただけることになったんです。そうして、“粘土ばかりやってるから司法試験に受からない明石キャラ” になりました!
そもそも粘土も雑誌の連載がきっかけです。17年前に始め、もう160個ぐらいになるかな。粘土を触ってると安心できるというか、忙しいときでも作りたくなるんです。一人でやる作業なので、すべてに責任を持たなくちゃいけないし、最終的に OK を出すのも自分。その自己完結が難しくもあり、魅力でもあります。そして、出来上がった作品は自分の分身みたいなものだから、それを雑誌や個展で皆さんに見ていただける喜びは、お芝居やお笑いとも似ています。

※片桐さんの不条理アート粘土作品展 「ギリ展」 が開催されます。詳細はこちら

役者、片桐仁

自分自身、役者として面白がれるようになったのはここ3年くらいです。20代、30代の頃はけっこうネガティブだったんですよ。粘土も 「人からヘタって思われないようにしよう」 と思ってたし、俳優業も 「きっとマニアックな役を望まれてるんだろうな」 って勝手に自分の役割を決めたりして。とくにドラマは、舞台と違って共演の皆さんと顔を合わせたらすぐに撮影が始まることや、カメラの前でお芝居しなくちゃいけないのがすごく怖かったですね。
でも、結婚して子どもが生まれたこともあって、仕事へのモチベーションが上がり始めたんです。もしかしたら楽しくないのは自分が楽しもうとしていないだけじゃないか。こういう仕事をさせてもらえるだけでラッキーなのに、何を気に病むことがあるんだって。今は、役を通して自分が思ったことを表現できることが楽しいし、父親役であれば普段の生活が役立つこともあるでしょう。いろんなことが役や人生とつながるんですよね。『99.9』 のように、周りの方たちによって役の可能性がどんどん広がっていくことも、すごく面白いと感じています。

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