2016年4月期連続ドラマ毎週日曜よる9時放送

インタビュー

香川照之さん(佐田篤弘役)

弁護士、佐田篤弘

僕が演じる佐田と松本さんの深山は、同じ弁護士であっても、同じ方向を向いているとは言い難い役どころ。かなり距離がありますね。演じる上では、エキセントリックな深山に対して、佐田は抑えて弁護士らしくいたいと思っています。弁護士という節度の中で僕自身がどれだけ自由にできるかが、これからの掛け合いの中でやっていきたいところです。
撮影に入ってすぐの頃、深山と佐田、榮倉さんの彩乃の三人で依頼人 (被疑者) に会いに行く接見室のシーンを撮ったんですね。その3ショットの絵面が見事にバラバラで。それがなんだかとてもいい感じで、僕の頭にいい感触としてインプットされました。
弁護士のドラマというと個人事務所のイメージがあると思うんです。でも今回はたくさんの弁護士を抱える巨大法律事務所が舞台。その辺の新鮮さや面白さを、現実とはあまりかけ離れずリアリティを持って出せたらと思っています。

座長としての松本潤

僕はこの 「日曜劇場」 枠にご縁があって、知っているスタッフも多いんです。ことに今回感じるのが、松本さんが現場をうまくまとめ上げているなということ。今日も撮影中、別室でモニターを見ている記録さんの笑い声がずっと聞こえていたりして、チームとしてどんどんいい方向に行ってる感じがすごくしますね。
僕は、主役というのはカメラが回っているときはもちろん、回っていないときの居方とかスタッフとの関わり方が、すごく重要だと思います。松本さんとの共演は今回が初めてですが、そこをとても大事にする人ですね。そして、難しい役どころである深山というキャラクターを、周りとのいい関係性の中で彼自身が面白がりながらあっという間に作り上げてしまった。非常に魅力的な主人公をね。もちろん陰での苦労は多いと思うけど、本当にスゴイなと感じるし、僕ら一緒に演じている者としては感謝ですね。

撮影エピソード

3週間くらいの撮影を振り返って思い出すのは、絆創膏 (ばんそうこう) 事件!第2話のあるシーンを撮っていたときに、松本さんが僕のことを見たこともないすごい目つきで凝視してたんです。手元の割本 (カットごとの台本) と僕を見比べたりしてジーって。まるで犯人を見つけたかのように。「あれー、俺なんかやっちゃった?」 って思ったら 「このシーン、絆創膏いりますよね?」 って。僕のおでこに絆創膏が貼ってないといけなかったのに、貼り忘れたまま撮影してたんですよ。もちろん撮る順番はストーリー通りじゃなくてバラバラだから、いつもは時間経過のつながりを考えながら絆創膏からにじむ血の量までスタッフが気を付けてたのに、そのときは僕を含め誰も気づかなくて。連日深夜12時を回るハードな撮影だったから魔がさしたんでしょうね。そういう中で、彼だけが気付いてくれて。夜中の2時半までかかってそのシーンを撮り直しました。松本潤、恐るべき底力です!

現場で思うこと

台本に書かれたセリフを言って、演じるのが役者の仕事です。僕自身、何十年とその作業に時間をかけてきました。そういう中でいつも思うのは、ご一緒している人たちが何を根っこに仕事をされているのかということ。現場はお互いにその確認というか情報交換のできる場であったらいいなと思うんですよね。その上で一体感を感じながら同じ目的に向かっていけたらとてもいいことだし。本来、仕事ってそうであるべきなんじゃないかなと。そういう意味でも今回は、松本さんも榮倉さんも僕がこっそり入手した事前情報通りのいい方で (笑)、現場がとても気持ちいいですね。

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