2019年1月スタート毎週日曜よる9時

グッドジャッジ

vol.3この業界はブラック??弁護士という職業の魅力とは

第3話はいかがでしたか?今回の大きなテーマの一つは過重労働でしたね。日本人は働きすぎだと言われ続け,ようやく最近になって 「働き方改革」 が色んなところで始まっています。みなさんは弁護士の働き方にどんなイメージがありますか?私の印象では,どちらかといえば,「忙しそう」とか,「休みがなさそう」という声をよく耳にする気がします。やはり,業界的にはあまり健全な労働環境だというイメージがないんでしょうか (笑)。

皆さんもご承知のとおり,日本には労働者を保護する様々な法律があります。例えば,労働基準法では,一日の労働時間は原則8時間・週40時間と決められていたり,いわゆる残業,あるいは深夜労働や休日出勤をさせる際には,ちゃんとその分の手当を上乗せしなければならない,といったルールが定められています。そうすると,いくら忙しいと言っても,弁護士もこういったルールに守られているんだから,そこまでキツくはないんじゃない?と思われる方もいらっしゃるかも知れません。

ところが,(恐ろしいことに) 実はそうでもないんです。日本の弁護士は,かなりの割合で労働法の適用を受けないという前提で働いています (私もそのうちの一人です)。つまり,一日何時間以上は働いたらダメというのもありませんし,残業代も休日手当も深夜手当もつけなくていい,という扱いなんです。あとは,労働法の大事なルールの一つでもある 「不当解雇の禁止」 も適用されません。ということは,「君,明日から事務所来なくていいよ」と言われたら,いきなりクビになったことの不利益をお金で精算することはあり得ても,労働法の適用を受ける会社員のように,不当解雇を理由に 「解雇無効=自分はまだ従業員である」 と主張し,社員としての立場を守ることもできない,ということです。どうですか,ブラックな香りがしてきましたね (笑)。

でも,当然これには理由があります。なぜか?日本の弁護士の多くは,雇用会社の指示に従って働く労働者ではなく,あくまでも自分の採算で仕事をする 「個人事業主」 だと考えられているからです。たとえ事務所に所属していても,弁護士一人一人が自分の仕事を自分の裁量で処理している一人社長ということですね。そういう意味では,上記のような法律の保護がない代わりに,依頼人から受けた仕事をきっちり仕上げさえすれば,別に事務所に行かなくたって,好きに休んだって,結果に対する報酬はもらえます。自分の労働力 (時間) を売って給料をもらうのではなく,自分の作り出した成果 (物) を売って対価をもらっている… 言い方を変えれば,成果が全てで,その過程を問われない職業… それが弁護士という仕事なんです (※もちろん,純粋に雇用という形で働く弁護士も沢山いますし,そういった人には労働法が適用されます)。

何から何まで,良くも悪くも,すべては自分次第。もちろん大変なことも多いですが,そんな自由なところが弁護士の魅力でもあるんですよ。

果たして,神山多田法律事務所はどうなんでしょうか…。少なくとも,杏子は家に帰れているので大丈夫そう (笑)?

弁護士:國松 崇

元 TBS 社員弁護士。現在は東京リベルテ法律事務所に所属し,主にエンターテインメント分野の取引法務や訴訟対応等を中心に,多くの企業・個人に対し,幅広くリーガルサービスを提供している。また,刑事弁護人としての活動も引き続き精力的に行っている。『 99.9-刑事専門弁護士- シリーズ 』 など,多くの TBS ドラマにおいて,脚本作りや法廷シーンの演出など全体の監修を担当。

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