作品紹介

第三章:教養  琴棋書画

中国では往古より、君子高子は学問に親しみ書斎の生活を楽しむを以て好しとされてきました。我が国でも古代からこの中国の好尚を至上の教養とし、武家社会においても為政者の必須の徳目として位置づけられました。大名自身をはじめ武家の者は、和歌を詠み絵・楽や文学に親しむのを一つの価値観・人生観とし、数多くの作品や道具類が大名家に所蔵されました。

(作品)
箏(そう) 銘 小町(こまち) 伝春姫(はるひめ)(尾張家初代義直夫人)所用 室町時代15世紀 (1/2〜1/27展示)

箏は和歌や手習いとともに女性の教養に数えられ、古来上層階級の女性によって学ばれた。浅野幸長(よしなが)の娘で、数え年14歳で義直に嫁した春姫の愛用品と伝えられている。

(作品)
[重要文化財]斎宮女御集(さいぐうのにょうごしゅう) 伝源俊頼(みなもとのとしより)筆 鎌倉時代13世紀 (全期間展示、頁替あり)

平安時代中期の女流歌人である斎宮女御の私家集。村上天皇、斎院らとの贈答歌が中心で、心情を吐露した作が多い。現存する『斎宮女御集』のなかで、原本に最も近い姿を伝える古写本として国文学上に価値が高い。花唐草文などの文様を雲母刷(きらず)りした美麗な唐紙を用いており、文化史上にも貴重である。尾張二代光友の所用品。

※すべて徳川美術館蔵