おやこで学ぼう救急処置!!

お子様たちや、お母さん、お父さん…家族全員で「困った…こんなときどうしよう!」と、身近に起こりうる、ちょっとしたケガや病気の応急手当を『病院で念仏を唱えないでください』の医療監修チームに教えていただくコーナーです

【第2回】『お家でやけどしてしまった…!正しい応急手当は?』

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お家でやけどをしてしまった…!こんな時、慌ててしまいますよね。

1やけどにはどのような症状があるのでしょうか? またやけどは皮膚がどのようになっているのでしょうか?

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やけど(熱傷)は皮膚が焼けてしまう状態です。熱湯や熱いものに触れたりすると皮膚が熱で傷害を受けます。
特に衣服に火がついたりした場合に起こるやけどを火炎熱傷ともいい、このようなやけどは重篤なやけどになりやすいです。
火災でやけどを負う場合は、呼吸をすることで熱風による口の中や気管の中のやけど(気道熱傷)を起こすこともあります。気道熱傷は重篤なやけどです。
やけどは皮膚の焼けた深さによって症状が異なります。表皮のみが焼けると(I度熱傷)、皮膚がひりひりと痛み赤くなります。
表皮を超えると(Ⅱ度熱傷)水胞(水ぶくれ)ができてきます。さらに深いやけど(Ⅲ度熱傷)の場合には皮膚が白くなったり、褐色様になります。
Ⅲ度熱傷になると皮膚の深いところまで焼けてしまうため、痛みを感じなくなってしまいます。痛みを感じないやけどは深くまで焼けた重症のやけどと考えることができます。
また焼けた深さだけではなく、やけどをした面積が広くなればなるほど重篤といえます。

2やけどをしてしまった場合、どのような応急手当を行えばいいでしょうか?

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やけどをした範囲が小さければ、まず清潔な流水で冷却をします。冷やすことで症状を軽減させると同時に、やけどの進行を食い止めることにもなります。水道水などの流水を使って痛みが良くなるまで10~20分程度冷やすと良いでしょう。冷却は初期対応としては効果的ですが、広い範囲がやけどを負った場合に冷却を行うと低体温となり状態が悪くなることがあるため、冷却をさけた方が良い場合もあります。水疱ができている場合は、水疱が破れないようにしましょう。特にやけどの直後に衣服を脱がすと水疱が破れて症状が強くなったり、治りが悪くなることがあります。衣服の上から冷却するのも悪くはありません。

3病院を受診しなければならないやけどはどのようなものでしょうか?

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ごくごく小さなやけどであれば、冷却をして清潔を保つことでようすをみることもできますが、やけどは原則的に医療機関を受診した方が良いでしょう。やけどの面積が広いもの、炎でのやけど(Ⅲ度熱傷)、顔面(気道熱傷)や手足のやけどなどはすぐに医療機関を受診して下さい。特に広い範囲のやけど(広範囲熱傷)の場合は救急車を呼ぶなどしてすぐに受診しましょう。深いやけど(Ⅲ度熱傷)が広い範囲にある場合は、最初は元気にしていても数時間のうちに血圧が下がるなど急速に状態が悪くなり、命に関わる場合があります。多くは輸液療法(点滴治療)や集中治療が必要となり、状態に応じての手術も行われます。Ⅱ度熱傷であっても広い範囲のやけどの場合、感染などをおこすとⅢ度熱傷へと症状が進み、同様に命が危うい状態となることもあります。やけどは時間と共に症状が悪化する病態でもあるため、必ず医療機関を受診して下さい。

4やけどの跡が残ってしまった場合、どうしたらよいでしょうか?

やけどがなおると皮膚の赤みが残ったり、色素沈着と行って茶色になったりすることがあります。
色素沈着を予防するためには、紫外線に当たらないようにすることが重要とされています。外出するときにはやけどの部分を衣服で覆うなどして紫外線対策をします。
やけどがひどい場合は皮膚がひきつれたり、ケロイド状になることもあります。ひどいやけどの場合は、こうした症状を起こさないように早くから専門医での治療を受けることがよいでしょう。
深いやけどは手術(植皮術など)が必要となることがあります。顔面や手足などでは美容的な観点から後ほど形成外科での手術治療を必要とすることもあります。
もし跡が残ってしまったら、皮膚科または形成外科の専門医に相談するとよいでしょう。

写真:渡部 広明

【 医療監修 】

島根大学医学部附属病院 高度外傷センター
Acute Care Surgery講座 教授
高度外傷センター センター長
渡部 広明

専門分野:Acute Care Surgery(外傷外科、救急外科)、外傷学、災害医学、救急医学、病院前診療学、集中治療学

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