おやこで学ぼう救急処置!!

お子様たちや、お母さん、お父さん…家族全員で「困った…こんなときどうしよう!」と、身近に起こりうる、ちょっとしたケガや病気の応急手当を『病院で念仏を唱えないでください』の医療監修チームに教えていただくコーナーです

【第1回】『高熱が出てしまった!…もしかして、インフルエンザ!?』

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高熱が出る病気はたくさんあります。
冬のこの季節、心配になるのがインフルエンザですね。

1突然、高熱が出てしまったときどのように対処するのが良いでしょうか?

高熱の原因となる病気は非常に多く、原因によって対応が変わってきます。特に発熱を下げた方が良い場合と、下げない方が良い場合があります。
下げなければならない有名な病態の一つに熱中症があります。特に体温が40℃以上となると高体温から臓器の障害を引き起こし命に関わることがあり急速な体温の低下が必要になります。
一方、病気の種類によっては体が反応することであえて発熱し体を守っている場合もあります。
この場合には発熱自体が害を及ぼさない場合は、必ずしも熱を下げる必要はないとされています。
病態によって対応が異なるため、微熱ではなく高熱の場合は、医療機関を受診するほうが良い場合は多いです。

2インフルエンザと疑われる症状にはどのようなものがあるのでしょうか?

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インフルエンザにかかると、高熱や上気道症状(のどの痛み、咳、くしゃみなど)などの症状が見られます。特に発熱は、38℃を超える高熱となることが多いです。
普通のかぜと比べて、筋肉痛や関節痛、さらには全身のだるさなどの全身にわたる症状が出るのは特徴です。なかには高熱が出ない場合もあります。
ひどい症状としては肺炎の合併や、子供では脳炎や脳症と言って意識が悪くなる重篤なものも知られています。

3インフルエンザはどのようなメカニズムで感染するのでしょうか?

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インフルエンザは、インフルエンザウイルスの感染によって発症します。
ウイルスの付着したものに接触したり、インフルエンザ患者さんが咳やくしゃみをしたときに飛び散った空気中の水滴を吸い込むことで感染します。

4インフルエンザになってしまった場合、どのように過ごすのが良いでしょうか?

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インフルエンザになってしまったら、登校や出勤はせずに自宅で加療することが大切です。
感染したまま学校や職場へ行くと感染を拡大することになります。自宅では十分な水分と栄養をとり、安静にして睡眠をしっかりとりましょう。
健康な若者であれば特に病院での治療を必要としないとされていますが、なかには重症化する人もいます。
高齢者や乳児、さらには持病のある方は重症化することがあり、病院で抗ウイルス薬の投与を受けるのが望ましいとされています。

5二次感染を防ぐためにはどのようなことができるのでしょうか?

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インフルエンザになった場合、感染を拡大させない努力も必要です。
発熱が治まってもインフルエンザウイルスは体内に残っており、周囲の人に感染させる力があります。
また、咳やくしゃみの症状があるときはマスクをして感染を広げないようにしましょう(咳エチケット)。こまめに手を洗うことも大切です。

6そもそもインフルエンザにかからないためにはどのようなことができるのでしょうか?

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インフルエンザにかからないようにする一つの方法に、ワクチンの接種があります。流行期に入る前にワクチン接種をして予防することができます。
また、毎日の生活の中でもウイルスに接触する機会は多いため、ウイルスの侵入を防ぐために外出先から帰ったら手洗い、うがいをこまめにすることで防ぐことができます。
また普段から十分な睡眠をとり、バランスの良い食生活を心がけることも大切です。

写真:渡部 広明

【 医療監修 】

島根大学医学部附属病院 高度外傷センター
Acute Care Surgery講座 教授
高度外傷センター センター長
渡部 広明

専門分野:Acute Care Surgery(外傷外科、救急外科)、外傷学、災害医学、救急医学、病院前診療学、集中治療学

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