あらすじ:
『太鼓叩きゃ出るホコリ』/諏訪(2008年5月5日 放送)
水戸老公(里見浩太朗)一行は諏訪へ。老公は白いひげの良く似合う、年配の侍、坂田伝右衛門(長門裕之)と出会った。伝右衛門は四十年も昔に許嫁だった、高岡美津世(水野久美)が困っていると知り、はるばる諏訪に駆け付けた。勘定方で働く美津世の孫、清四郎(市瀬秀和)が出奔し、行方が分からないと風の便りに聞いたからだ。
お人好しの伝右衛門は、頼まれもしないのに清四郎の捜索に乗り出すが、奉行所に直談判に出かけたりと、思いもよらぬ行動で人々をはらはらさせる。美津世と清四郎の許嫁、若菜(高松あい)もかえって心配が募る。
ところで諏訪では諏訪大社改修のために寄進が行なわれていたが、家老の真鍋多聞(内田勝正)と勘定奉行の井川宗蔵(夏夕介)は、強引に寄進を取り立て、私腹を肥やそうとしていた。清四郎はその企みに気付き、井川たちを正そうとしたこところ、返り討ちに合い、やむなく逃げ出したのであった。悪事の証拠はその時、真鍋が腕に負った傷である。
山中に隠れていた清四郎を風車の弥七(内藤剛志)が救い出し、老公も真鍋の悪だくみを知る。
さて、諏訪大社では勧進を盛り上げるために御諏訪太鼓の叩き比べが行なわれることになった。太鼓好きで知られる真鍋だが、今回は悪事の発覚を恐れて身を潜めている。だが太鼓の勇ましい音を聞くと、どうにも我慢ができなくなっていた。
老公は若い頃は太鼓打ちの名人といわれた伝右衛門に太鼓を叩いてもらい、真鍋を誘い出そうとするのだが…。
『娘の涙は金の粒』/甲府(2008年5月12日 放送)
水戸老公(里見浩太朗)一行は、志保(小沢真珠)の育ての親で、銀鉱石を持ったまま行方不明になっていた伊之助(山本圭)を追って甲府に到着した。
志保と再会した伊之助は、自分が原因で藩が争いに巻き込まれたことを侘び、志保からは、志保の兄がその争いの中で命を落としたことを聞き驚いた。
伊之助は、鉱石を腕利きの山師、清三郎(中西良太)に鑑定を依頼したが、銀はほとんど含まれていなかったと老公と志保に報告する。
だが、その時すでに伊之助は老公にも明かすことのできない特別な仕事を、清三郎から頼まれていた。清三郎は武田信玄の埋蔵金を発見していたのだ。莫大なその金を発掘するには伊之助のように鉱山に詳しい相棒がいる。清三郎は証拠の金貨を見せて、危険な仕事だが手伝ってほしいと伊之助を誘う。
ところで清三郎の娘、お光(水橋貴己)は山仕事に没頭し、家庭をかえりみない父親を軽蔑していた。お光は親しい板前の友吉(伊東孝明)が金に困っていることを知り、清三郎が隠しておいた金貨を友吉に渡してしまった。
ところが、その金貨は、十手持ちの伝蔵(木村栄)に渡り、さらに金座の主人、梅村久兵衛(外山高士)と金山奉行の奥田内記(石山雄大)へと流れていった。
ついに清三郎が武田の埋蔵金を発見した! その確証を得て、奥田と久兵衛は埋蔵金を横取りしようと考えた。だが、頑固な清三郎は簡単には金をよこすまい。奥田たちは伝蔵を使ってお光をさらい、埋蔵金を掘り出すよう、清三郎を脅すのだが…
『駆け落ち妻の目に涙』/駿府(2008年5月19日 放送)
水戸老公(里見浩太朗)一行は駿府へ。一行は将軍家から拝領した棗を家宝として大切に蔵に保管しているという、老舗の茶問屋主人、柿島屋儀兵衛(寺田農)と出会う。儀兵衛の一人娘、おしの(国分佐智子)は五年前、店の使用人、勘六(松尾諭)と駆け落ちして行方が分からなかったが、儀兵衛が大病を患ったと聞き、勘六と二人で見舞いのために帰ってきた。
病は癒えた儀兵衛だが、実は番頭の与之助(水野純一)とおしのを夫婦にして店を継がせたいと期待していたので、それを裏切ったおしのと勘六は、勘当したも同然で、二人の侘びを聞こうともしない。
与之助は、おしのと勘六に店を継いで欲しいと考え、儀兵衛との仲を取り持つが、儀兵衛は頑として聞き入れようとしない。どう見ても与之助より劣る勘六をなぜおしのが夫に選んだのか、儀兵衛はおしのの心情が分からず、ふしぎでならなかった。
その頃、駿府では町奉行の神田外記(浜田晃)が茶問屋の川口屋(江藤漢斉)と結託して、茶の商いを一手に握り、私腹を肥やそうと企んでいた。そのためには儀兵衛の協力が不可欠だが、儀兵衛は首を縦に振らず、神田は腹立たしく思っていた。
そこへおしのと勘六が帰ってきたという知らせが届いた。川口屋は甘い言葉で勘六を誘き出し、おしのを襲う。その時、柿島屋の蔵にあるはずの棗を勘六が持っていたことが分かった。なぜ勘六は棗を持っていたのか? 勘六とおしの夫婦の秘密が明らかになる…。
『わははオヨヨの珍道中』/三島(2008年5月26日 放送)
水戸老公(里見浩太朗)一行は三島へ。老公は二人連れの旅人、おかね(中村玉緒)と十歳の少年、長吉(上原陸)と出会う。二人は母子ではなく、おかねは長吉は死んだ知人の子だと説明する。おかねは詐欺師で、長吉と組んで人をだまして稼ぎながら旅を続けており、二人はいつか居酒屋を開くという夢を持っていた。
老公一行と、おかねたちは「ふじ芳」という三島でも評判のよい宿に泊まることになった。
ふじ芳の主人は、芳太郎(吉見一豊)、女将はおふじ(仲代奈緒)で、二人は明るく仲のよい夫婦だ。しかし、夫婦には十年前に赤ん坊だった息子と事故で生き別れになるという悲しい過去があった。
その話を聞いておかねの表情が曇るのを老公は見逃さなかった。おかねは夫婦が語る生き別れの様子から、長吉こそが二人の子だと確信した。事故直後おかねが長吉を助け、ずっと育ててきたのだ。おかねは悩んだ末、長吉を実の父母に返す決心をする。
ところがその頃、三島の代官、波原吉左衛門(谷本一)と物産問屋の昇屋昇五郎(小沢象)は、ふじ芳の商売を大きくさせて儲けをかすめ取ろうと企んでいた。だが堅実な芳太郎は頑として同意しなかった。
長吉が芳太郎たちの子だと知った波原は、長吉をさらい芳太郎を脅す。おかねは長吉を救い出すため、占い師に扮装してお娟(由美かおる)と共に昇屋に送り込んだ。人を騙すのはお手の物。昇屋と波原はおかねの話をすっかり信用するが…。
『温泉芸者が結ぶ仲』/修善寺(2008年6月2日 放送)
水戸老公(里見浩太朗)一行は修善寺へ。一行は能面作りの名人、六兵衛(津嘉山正種)とその息子、圭吉(田中優樹)と出会う。六兵衛は能面は役者が使ってこそ真価を発揮すると考えており、飾り物の面(おもて)は一切作らない。圭吉はそんな頑固な父親のせいでに母親が早死にさせられたと思い込んでおり、父を恨んでいる。圭吉の幼なじみの芸者、照葉(加藤忍)は反目する父子を心配している。
お娟(由美かおる)と志保(小沢真珠)も修善寺の温泉に浸かりながら、父子を仲直りさせるいい方法はないものかと思案する。
ところで、岩槻藩の役人、大室朔兵衛(有川博)は老中の柳沢吉保への貢ぎ物とするために、六兵衛の面を欲していた。大室は代官所の輿水彪五郎(井上高志)の仲介で面作りを六兵衛に依頼するが、六兵衛はこれを断った。
輿水は圭吉をだまして六兵衛の贋作を作らせて捕らえ、圭吉の命が惜しければ、飾りの面を作るようにと六兵衛を脅迫する。老公は圭吉を助けるための思案を六兵衛に伝え、それが功を奏して圭吉は無事戻ってきた。それでも六兵衛に感謝することなく反抗する圭吉に、照葉は圭吉の父母の秘められた真実の愛情を語って聞かせるのだった。
さて、老公は自ら六兵衛が作った能面を付けて大室と輿水の面前で能を舞って見せ、二人の悪巧みを暴くのだったが…