あらすじ:
『にわか侍一直線!』/郡上八幡(2008年3月17日 放送)
水戸老公(里見浩太朗)一行は、郡上八幡へ。老公は領内に入る関所で役人に不当な税金を取り立てられ、不審に思った。
一方、老公は正義感の強い、勘定方の侍、原田吉之助(宮下裕治)に出会った。吉之助は農民出身だが、養父の原田武平(樋浦勉)は吉之助の人柄にほれこんで家督を継がせることにしたという。
しかし、吉之助は城内では上役、同僚から、「にわか侍」と呼ばれてさげすまれ、辛い思いを重ねていた。それでもくじけず、鍛練と学問を怠らない吉之助に老公は好意を抱く。
ところで郡上八幡では、病に伏している城代家老の目を盗み、藩政をあずかる月番家老の西脇刑部(立川三貴)が両替屋の鳴海屋(河西健司)と手を結び、税を操作して私腹を肥やし人々を苦しめていた。
特に農民たちは年貢を厳しく取り立てられて、日々の食事にも困るほどだ。老公が関所で税を取られたのも西脇の悪事の仕業である。
風車の弥七(内藤剛志)は農民たちが疲れ果てて希望を無くし、一揆を考えるほど追い詰められていると老公に報告する。一揆を起せば、たくさんの死人が出、人々の暮らしはさらに苦しくなる。吉之助もその危機を察知し、農民たちに思いとどまるよう説得する。
その頃、城代家老の病が癒えて、回復に向かう事が分かった。悪事が露見することを恐れた西脇は、人の良い武平に全ての罪を負わせ、自分たちは逃げおおせるよう画策するのだったが…
『縁は切られぬ偽親子』/岐阜(2008年3月24日 放送)
水戸老公(里見浩太朗)一行は岐阜に到着した。老公は名産の岐阜提灯を作る作業場を見学する。そこで提灯の金具を作る錺(かざり)職人、圭造(峰岸徹)と出会う。圭造の息子、金太(若林久弥)は父親の下で見習い仕事に励んでいた。最近腕を上げ、一人前の口を聞く金太を圭造は厳しくたしなめる。圭造と金太は実は本当の父子ではないのだが、金太はそのことを知らされていない。
そんな折、圭造のかつての泥棒仲間、亥之吉(伊藤高)が訪ねてくる。圭造は器用な技を使いどんな鍵でも開ける名人だったが、今はすっかり足を洗っている。亥之吉は藩の御用金が眠る開かずの蔵を開けてほしい、これが最後の仕事だと、圭造に持ちかける。
実は家老の筒井平太夫(波多江清)と勘定方役人、増岡藤五郎(青島健介)が公金を使い込んでしまい、その穴を埋めるために蔵に隠された金に目を付けていたのである。その鍵は亥之吉の手には負えず、亥之吉は圭造ならばと考えたのだ。亥之吉は、圭造が金太の実の父親を殺してしまった過去を金太にばらすと、圭造をしつこく脅す。
ところで、この頃体調が優れない圭造を心配した金太は、高麗人参を盗もうとして藩の薬草園に忍び込み捕らえられる。この罪は重く、打ち首を免れないという。亥之吉は蔵の鍵を開ければ、金太を助けると圭造に約束する。
金太の命を救うため、圭造は禁じていた技を使い、見事蔵を開けるのだった。
だが、筒井と増岡は金さえ盗み出せれば、圭造と金太そして亥之吉ももろとも殺してしまおうと企んでいた…
『弥七に恋した影の女』/尾張(2008年4月14日 放送)
尾張についた水戸老公(里見浩太朗)は若い頃の学友、津田清芳(小西良太郎)を訪ねる。清芳の孫娘、美沙(楯真由子)によると、清芳は数日前、何者かに襲われて意識不明の危篤状態だという。老公が声をかけると清芳は謎の言葉を残して息を引き取った。清芳が残した日記などを調べるうちに清芳が隠密だったことと、裏柳生と呼ばれる忍者軍団が幕府転覆の野望を抱いていることが分かった。
忍びの情報を探るため、風車の弥七(内藤剛志)が伊賀の里へ向かう。弥七は弥七に恋心を抱く女忍者、お春(紫吹淳)と共に伊賀忍者の頭領、音羽孫右衛門(山野史人)を訪ね、尾張藩の重役が清芳の命を狙ったのだと聞き出した。
さらにお春からの情報で、徳川家康の血を引くという風魔一族が幕府転覆計画に加担していることが分かった。一族の頭領・風魔三郎(隆大介)は裏柳生と手を結び、二百人の軍勢を率いて、将軍を襲撃し、一気に天下を取ろうと企んでいたのである。
老公たちがその企てを知ったことに裏柳生が気付き、刺客が老公を襲う。老公は尾張藩指南役・柳生兵庫(笠原章)の加勢を得ながら風魔三郎の野望を砕こうとするのだが…
『盗っ人最後の恩返し』/浜松(2008年4月21日 放送)
水戸老公(里見浩太朗)一行は浜松へ。老公は浜松城の家老、大杉喜内(美木良介)が城から盗まれた将軍家拝領の茶碗を必死に探していることを知った。茶碗は数日後に迫った茶会で使われることになっており、見つからなければ、大杉は腹を切らねばならない。
ところで浜松の城下では数日前に火事があり、牢にも火が及んで罪人たちが解き放たれていた。三日後に戻らなければ罪人たちは極刑となるのだが、まだ数人が帰っておらず、城下は不穏な空気が漂っていた。錠前破りの名人、儀十(下條アトム)も事情があって牢に戻れない一人だった。
実は大杉が探している茶碗は儀十が盗み出したものだ。儀十は盗賊から足を洗おうと決心し、盗賊の頭、山猫の文治(須藤雅宏)から最後の仕事と頼まれて茶碗を盗んだ。その茶碗を大杉が探していることを知り、儀十は愕然とした。
五年前、毒蛇に咬まれて死にかけていた儀十の命を救った恩人が、大杉だったからだ。その時生まれて初めて人の情けに触れ、儀十は真人間になろうと考えていたのである。
儀十は茶碗を大杉に返そうとするが、文治とその手下たち、そして茶碗を裏で売買して儲けようと企む、廻船問屋、春木屋(二瓶鮫一)と郡奉行の吾妻佑京(杜澤たいぶん)が茶碗を取り戻そうと、儀十を追い詰める。吾妻の配下、細田又四郎(篠塚勝)は儀十に深手を負わせ、茶碗を手中に納める。風車の弥七(内藤剛志)が駆け付けるが、間一髪間に合わなかった。
虫の息の儀十は、大杉に詫び、茶碗紛失の黒幕が吾妻であることを伝え、息を引き取った。死の間際にやっと恩人に再会できて改心した、儀十の哀れな心に老公も胸を熱くするのだった…
『気弱亭主と気丈女房』/飯田(2008年4月28日 放送)
水戸老公(里見浩太朗)一行は飯田へ。老公は各地からの品々が行き来する流通の要、問屋場で不正が行なわれ、人々が苦しんでいることを知る。
以前は殿様にも信頼の厚い女将、お鷹(田辺ひとみ)が問屋場を仕切っていたのだが、お鷹は数カ月前突然、奉行所に捕らえられ、城代家老、丸岡軍兵衛(石山輝夫)の息のかかった物産問屋、扇屋(深沢敦)が問屋場の差配をするようになっていた。丸岡はお鷹を失脚させて扇屋の便宜を計り、扇屋に金を出させて妾の室町太夫(園英子)を囲っていたのである。
そのため、荷物の運搬を請け負う、利助(坂上忍)たちは一気に給金が下がり、生活が苦しくなった。利助の女房、お朝(渡辺梓)は、二人の子どもを抱え困り果てていた。にも関わらず、お朝の忠告に耳を貸さず、利助が酒を飲んで金を使ってしまうので、お朝はついに家を飛び出し、尼寺に身を寄せる。
亭主がだらしがないのは、どの家庭でも同じだ。お朝が利助を見限ったと知って、お朝と同じようにだめ亭主に業を煮やしていた女房たちが、尼寺に集まってきた。
男たちには頼りにならない、自分たちの手でお鷹を取りかえし、もとの暮しに戻そうと女房たちが決起する。志保(小沢真珠)も行動を共にして、女たちの行方を見守る。
女房たちは大挙して奉行所に押し掛け、抗議の気勢を上げる。さらに室町太夫を人質に取り、お鷹を救い出そうと力を合わせるのだったが…