あらすじ:
『娘を守った幽霊騒動』/出石(2004年8月9日放送)
黄門さま(里見浩太朗)一行は出石に着いた。名物のそばを楽しみしていた一行だったが、千太(三波豊和)の案内で道をはぐれてしまう。
幸い、古寺を見つけて一夜の宿を頼もうとしたが、そこは幽霊が出ると噂される所で、千太が幽霊を見たと大騒ぎし、腰を抜かしてしまった。住職の沢禅和尚(長門裕之)も早く立ち去るよう警告する。
一行はやむなく農民の吾助(冷泉公裕)の家で一夜を明かす事になった。吾助も古寺には幽霊が出ると語り、近寄らない方がいいと忠告する。
そこへ吾助の知り合いの娘・お滝(田京恵)が沢庵を持って現れた。沢庵漬けの名人・沢禅が漬けたものだと言う。
ところで吾助には、お滝とも幼なじみのお稲(櫻井ゆか)という娘がいたのだが、三ヶ月前に池に身投げをしたという。美形のお稲は代官の多賀銀三郎(森章二)に見初められ、妾になれとしつこく言い寄られていた。
多賀は御用商人の三崎屋清右衛門(入川保則)と手を組んで米や穀物の横流しをしている。多賀は吾助たち農民にとっては絶対に逆らえない存在だ。
多賀の誘いを断ることができず、かといって村人にも迷惑をかけられないと思い悩んだ末、お稲は自らの命を断ったのだと、お滝は悔しそうに話す。
ところが実は、困り果てていたお稲の行く末を心配した沢禅とお滝、そして村の若い衆たちは協力して、彼女を古寺の奥に秘かにかくまっていたのである。
幽霊騒動は人々を寺から遠ざけるために沢禅が考えた作戦だった。
一方、多賀はお稲が死んだと聞かされても、お稲の死体を見るまでは諦める事ができなず、お稲がどこかで生きているに違いないと信じている。
多賀は吾助に無実の罪を着せて捕らえ、親孝行だったお稲をおびき出そうとする。
そのことを知った黄門さまは、幽霊騒動を利用して多賀を懲らしめようと一計を案じるのだった…。
『愛を救った職人魂』/山中温泉(2004年8月16日放送)
黄門さま(里見浩太朗)一行は北陸の名湯・山中温泉に着いた。為替受け取りのため一向とは別行動の助三郎(原田龍二)は、旅の風来坊・庄五郎(阿藤快)と知り合い意気投合する。
助さんは庄五郎に誘われるまま羽目を外し、旅籠で芸者をあげて、大宴会で盛り上がっていた。そうとは知らない黄門さまたちは、同じ宿で助さんの到着を待ちながら質素に一夜を過ごした。
そして翌朝、同じ宿に泊まっていた事と、みんなに内緒で宴会を楽しんだ事がばれてしまい、助さんは平謝り。黄門さま、格さん(合田雅吏)とお娟(由美かおる)にこっぴどく叱られた。
ところでその頃山中では、二人の職人が彫り物を作り、できのいい方を将軍様に献上する事になっていた。二人とは兄弟弟子の富三(若山騎一郎)と佐吉(宮下直紀)で、どちらも劣らぬ腕前だ。さらに二人のうちどちらかが今は亡き、親方の娘・早苗(今井恵理)と夫婦になり、跡目を継ぐことになっていた。
早苗は佐吉に思いを寄せているが、富三はどちらと一緒になるのかはっきりさせて欲しいと早苗に迫っていた。
ところで、黄門さまは庄五郎がかつて早苗の父親と彫り物の腕を競った兄弟弟子だった事を知った。庄五郎は、早苗と佐吉、そして富三の関係を複雑な心境で見つめていた。
黄門さまは献上品の腕比べの裏で、次席家老・畔倉掃部(浜田晃)と御用商人・河津屋五兵衛(井上博一)が悪事を企てていることを見抜いた。二人は藩の特産品の横流しをして私腹を肥やしていたが、その事が発覚することを恐れた二人は、献上彫り物を失敗させて、その責任者である城代家老・榊勘左衛門(梅野泰靖)を失脚させようと画策していたのだ。
そのため畔倉は佐吉を手下に襲わせて、献上品を彫れないよう怪我を負わせるのだったが…。
『帰って来た風の盆』/越中八尾(2004年8月23日放送)
黄門さま(里見浩太朗)一行は越中八尾(やつお)に着いた。街では、人々がおせい(押谷かおり)の指導で、作物の成長を願って踊る「風の盆」の練習に精を出していた。踊りの輪の中で目を引く美人のお美津(濱田万葉)はおせいの夫・長吉(有薗芳記)の妹だ。踊りの練習にも仕事にも身の入らない長吉を、おせいは歯がゆく思っていた。
練習が終わって帰ろうとしたお美津をならず者たちが襲う。助さん(原田龍二)、格さん(合田雅吏)とお娟 (由美かおる)が駆けつけてお美津を救う。おせいは、お美津を襲ったのは、紙問屋・野島屋八右衛門(石山輝夫)の手下に違いないという。野島屋の息子・安太郎(辻輝猛)は、お美津にしつこく言い寄り、金の力で強引に嫁にしようとしていた。
八尾の人々は、農作業の合間の副業に紙すきを行っていたが、野島屋父子が奉行の山崎弥太郎(杜澤たいぶん)と結託して値段を操作しているので、人々の暮らしは苦しくなるばかりだった。
ところで、お美津の恋人・与七(大沢健)は、踊りの名人で、一年前の風の盆では見物に来ていた殿様(石田信之)にも絶賛され、今年の風の盆で踊りを披露した時には、願い事を聞き届けると言われていた。
人々は、与七が山崎と野島屋の悪事を殿様に訴えて、暮らしがよくなると期待したが、与七は前の年に野島屋が雇ったならず者に襲われて、谷に落ちて死んでしまった。だが死体は発見されておらず、お美津は与七はまだ生きているのではないかと、かすかな望みを抱いている。
その期待を支えるように最近与七を見かけたという話が広がり、人々は与七が風の盆の時殿様の前に姿を現すのではないかと噂をしていた。そうなると山崎と野沢屋にとっては一大事だ。野沢屋は与七が生きていても姿を現すことができないよう、お登世を強引に人質に取った。
そして風の盆のその夜。殿様を迎えて踊りが始まった…。
『殿が見初めた物売り娘』/長岡(2004年8月30日放送)
黄門さま(里見浩太朗)一行は長岡に到着し、江戸から一行を追いかけてきた八重(岩崎加根子)と再会した。
一行は野菜を売り歩く気だてのいい娘・おちか(小西美帆)と知り合った。両親を亡くした不幸な身の上ながら、健気で笑顔が美しいおちかに、黄門さまと八重は好感を持った。
おちかの実家はかつては長岡でも指折りの舟問屋だったが、欲深い番頭・恒兵衛(津村鷹志)のわなにはまり、稼業を乗っ取られてしまった。恒兵衛は奉行の中畑啓之助(野崎海太郎)に賄賂を送り、今では藩の仕事を一手に取り仕切っていた。
恒兵衛の妻・おしげ(藤田みどり)と娘のおみね(竹本聡子)に今の境遇をさげすまれても、明るく振るまうおちかを老公と八重はますます気に入ってしまった。
ところで、長岡の若い藩主・牧野忠辰(桑原和生)は、お忍びで町を散策していたが、おちかと偶然出会い、その人柄に触れて一目惚れしてしまった。おちかも忠辰に強く引かれるのだった。
忠辰の後見人の家老・山本勘兵衛(石田太郎)は、忠辰の嫁探しが悩みの種だったが、忠辰がおちかに思い寄せている事を知り、町娘に恋をするなどもってのほかと猛反対。だが、勘兵衛もこっそりおちかを訪ねて本人に接し、考えを改める。
勘兵衛はおちかの気持ちを確かめるために、近く城内で行なわれる茶会に招いてはどうかと提案する。
自分が茶会に出ても場違だといって躊躇するおちかに、黄門さまは茶会に出席してお互いの気持ちを確かめた方がいいと勧めるが…。
『地獄酒場は金山の入口』/佐渡(2004年9月6日放送)
黄門さま(里見浩太朗)一行は佐渡へ渡った。
一行は道中、歌の上手い遊び人風の半次郎(布施明)と知り合った。
半次郎は佐渡の金山には危険を伴うがうまい儲け話があるといい、一攫千金を夢見ている。
佐渡は金山で働く荒くれ男たちが多く、殺伐としている。
一行が立ち寄った酒場「蛸壺屋」は博打場を兼ねており、暇をもてあました人足たちがたむろして危険な雰囲気だ。
黄門さまは蛸壺屋のおやじ・種五郎(三角八廊)に見込まれて、助さん(原田龍二)八重(岩崎加根子)と共に店の手伝いをすることになった。
一方、格さん(合田雅吏)と千太(三波豊和)は半次郎と共に金鉱で働くことになった。
その頃佐渡金山では佐渡奉行・大間垣甚右衛門(和崎俊哉)と与力・時村時蔵(蟷螂襲)が結託して、隠し鉱脈を発掘し、私服を肥やしていた。
公儀ではその情報をつかみ、隠密を使って証拠を探し出そうとしていたが、隠密は誰も帰って来なかった。
実は半次郎も金山の秘密を暴くために放たれた隠密だったのだ。
大間垣は半次郎にとっては父親の敵でもあった。黄門さまも大間垣たちの怪しい言動を察知し、大間垣が隠し金山を持っていることを知った。
ところで半次郎は、大間垣の命を狙っている流れ者の女・お七(冨樫真)が、生き別れになっていた実の妹だということを知り、驚くのだったが…。