作品紹介

第3章 建築家ミケランジェロ

ミケランジェロは絵画、彫刻、建築の3分野に才能を発揮しました。
建築の分野では、ヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂の建築監督に任ぜられたほか、フィレンツェの聖ロレンツォ聖堂などに重要な仕事を残しています。
ここでは素描を通じて彼の建築的アイデアの生成の過程を探ります。

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『ユリウス2世の霊廟に使用する大理石のスケッチ』 ミケランジェロ・ブオナローティ

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『ユリウス2世の霊廟に使用する大理石のスケッチ』 ミケランジェロ・ブオナローティ

制作年
1515年頃
材質
ペン/紙

恐らくミケランジェロのノートの一葉で、大きな大理石の塊から何をどのような形で切り出すか、石工に図示するためのメモ。
本葉に記された大理石は、彼が長年にわたり関わったユリウス2世霊廟のために使われたと想定されます。

『プラート門の要塞化のための計画案』ミケランジェロ・ブオナローティ

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『プラート門の要塞化のための計画案』ミケランジェロ・ブオナローティ

制作年
1529 - 30年頃
材質
赤石墨、ペン、褐色の淡彩/紙

ミケランジェロは、レオナルド・ダ・ヴィンチら他のルネサンス時代の「万能人」芸術家と同様に軍事建築にも携わりました。
本葉は、皇帝軍の侵攻に備えフィレンツェの城門を要塞化する計画案として制作されました。
彼の独創的なデザインは17世紀の城塞建築にも大きな影響を与えたと言われています。

『サン・ジョヴァンニ・デイ・フィオレンティーニ聖堂のための平面図計画案』 ミケランジェロ・ブオナローティ

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『サン・ジョヴァンニ・デイ・フィオレンティーニ聖堂のための平面図計画案』 ミケランジェロ・ブオナローティ

制作年
1559年頃
材質
赤石墨、黒石墨、ペン、褐色の淡彩/紙

細部まで丁寧に仕上げられた、ミケランジェロの建築素描の中でも完成度が高く最も美しい一枚に数えられます。
ローマのフィレンツェ人たちのための聖堂にふさわしく、故郷の大聖堂洗礼堂を想起させる八角形に基づくプランをとっています。
この聖堂は17世紀に入って別の建築家の手により完成されました。

© Associazione Culturale Metamorfosi and Fondazione Casa Buonarroti