作品紹介
第2章 ミケランジェロとシスティーナ礼拝堂
ミケランジェロはヴァチカン宮殿のシスティーナ礼拝堂に、「創世記」の場面を中心とする 天井画(1508‐12年)と、祭壇正面壁面の《最後の審判》(1536-41年)を描きました。
ルネサンス美術の二大モニュメントたるこれらの壁画がどのようにして生まれたのか、準備 素描を辿りながらその創造の秘密に迫ります。
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『「最後の審判」のための習作』 ミケランジェロ・ブオナローティ
『「最後の審判」のための習作』 ミケランジェロ・ブオナローティ
- 制作年
- 1533 - 34年頃
- 材質
- 黒石墨/紙
システィーナ礼拝堂の《最後の審判》全体図の初期構想を示す唯一の下絵素描。
右手を掲げた神を中心に、天に召された人々と地獄に落ちる人々がダイナミックに組み合わされています。
『システィーナ礼拝堂天井画「ノアの酩酊」のための右腕の習作』ミケランジェロ・ブオナローティ
『システィーナ礼拝堂天井画「ノアの酩酊」のための右腕の習作』ミケランジェロ・ブオナローティ
- 制作年
- 1508- 09年頃
- 材質
- 黒石墨/紙
もともと巨像《ダヴィデ》で用いた腕のポーズを、システィーナ礼拝堂天井画の人物に転用する際の下絵と考えられます。
彫刻的な立体感と力強さに満ちた簡潔な造形は、ミケランジェロの真骨頂と言えるでしょう。
『システィーナ礼拝堂天井画のための2つの裸体像習作』 ミケランジェロ・ブオナローティ
『システィーナ礼拝堂天井画のための2つの裸体像習作』 ミケランジェロ・ブオナローティ
- 制作年
- 1511 - 12年頃
- 材質
- 黒石墨・黒炭/紙
上半身をかがめた全身像が淡い陰影により表され、その左下に簡潔な線描によりもう一人の人物が描かれています。
システィーナ礼拝堂天井画のイニュード(青年裸体像)の下絵素描と見られます。
しかし恐らく初期段階の構想で、完成作に同一ポーズをとる人物は見受けられません。
© Associazione Culturale Metamorfosi and Fondazione Casa Buonarroti