この世界の片隅にノート

Vol.3 段々畑の植物 —

段々畑はこのドラマの大事な舞台の一つ。
今回は、その段々畑に植えられている野菜や草花のこだわりをご紹介します!

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段々畑シーンは、すずがお嫁に来た昭和19年3月に始まり、第5話(8月12日放送)で昭和20年3月までが描かれ、ちょうど丸1年が経過しました。

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その間、野菜を収穫したり、すずと周作が心を通わせたり、女子トークに花が咲いたり…いろいろありました。
ドラマ上では1年ですが、それを撮影したのは5月から7月の約3カ月。そのためシーンの季節に合わせ、野菜の苗や草花を植え替えて撮影しています。

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ただ、相手は自然の植物。そう簡単には手に入らないものも多く、「映像の季節と現実の季節の折り合いをつけるのが大変。ネットワークを駆使して全国から取り寄せたり、美術さんと一緒になってありとあらゆる手を尽くしています!」と時代考証の山田先生。
この作品の象徴とも言えるたんぽぽも苦労があったようで…。

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第1話のオープニングは、たんぽぽの綿毛が飛んでいく映像でした。でも、緑山スタジオがある横浜ではすでに時期が終わっているため、1カ月遅れで咲く長野からわざわざ取り寄せました。
つぼみの状態で5〜6株取り寄せ、大事に大事に育て、撮影のタイミングに綿毛になったのは、わずか1株。その1株で無事オープニングを撮ることができました♪

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段々畑に黄色いたんぽぽと一緒咲いている白いたんぽぽ、お気付きでしょうか? あれは在来種。昔は普通にあったのでしょうが、今では黄色い西洋たんぽぽに押され、あまり見ることがなくなりました。
そこで、専門の業者さんに依頼して作ってもらった造花を使用しています。上の写真の白いたんぽぽとつくしは作り物ですが、近くで見てもちょっと区別がつかないくらいです。

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野菜は抜き取るお芝居もあるため、作り物ではなく、実際に種から植えているものがほとんど。
5月のクランクインに備え、2月頃から大根やかぶ、ほうれん草、小松菜、キャベツなどを種から植えて育ててきたものを、撮影に合わせて畑に植え替えています。しっかり根付くまでに最低3日はかかるそう。この日はサトイモが植えられていました。

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この日はサツマイモ。農薬は基本的に使わないため、葉っぱには虫食いの跡も…。
そんな段々畑の管理をしているのが、植木装飾スタッフの金子さん。虫はできるだけ1匹1匹手で取っていますが、キャベツは8割がた青虫に食べられて、気付いたらうちわの骨組みのようになっていた、というがっかりエピソードも…。

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第6話で、すずと晴美が双葉を摘み取るシーンがありますが、撮影の1週間前に金子さんが種を蒔いたものが、ちょうどいい具合に双葉に成長してくれました!
野菜や花と違って双葉の作り物はなく、オリジナルで作るにしても、土付きの根っこの感じがリアルに出ないんだそうです。

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こちらは北條家横の小路。石垣の脇にある何気ない雑草も、実は種から植えたものです!

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水やりは、1日1〜2回。この日も、当時のチシャに見立てたサニーレタスの成長を気にかけながら水やりをしていた金子さん。
最初の頃は気になって、1日に何度も畑に様子を見に来ていたとか。陽射しが強い時は覆いをして野菜たちを守っているそうです。
段々畑は1話につき1シーンか2シーンくらいですが、毎日の管理は欠かせません!

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段々畑シーンは6話以降ももちろんありますので、季節による植物の変化などもぜひ気に留めてお楽しみください♪

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