この世界の片隅にノート

Vol.2 節約料理 —

第3話。少ない配給をしのぐため、北條家の台所を預かるすずはいろいろ工夫を凝らしていました。

ある日の朝食の献立には、すずが摘んだたんぽぽの根をきんぴらに、葉をお浸しにするシーンが登場しました。

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撮影では、料理の見た目だけでなく“味”も当時をできるだけ忠実に再現しています。
「味は見えないけれど、役者さんに感じてもらいたいの。おいしいものはおいしいし、苦いものは苦い。だから、調味料の分量もしっかりこだわっています」と時代考証の山田順子先生。
毎回スタッフと一緒になって食事シーンの献立から調理法まで考えて、撮影時には食べ方のアドバイスなどもされています。

山田先生ご自身が、広島生まれ広島育ち。
「台本をベースに、私が子どもの頃に食べたものを再現してる」とのこと。味噌汁や煮物などのだしは、いりこ(煮干し)が基本のため、最初に広島からどっさりいりこを取り寄せたそうです。

この収録日の昼食休憩では、撮影用に作ったたんぽぽの根のきんぴらと葉のお浸し、さらにカラスノエンドウの塩炒め、ナスときゅうりの糠漬けがお弁当と共に並び、スタッフも味見をしました。
お浸しにまぶしてあるのは魚粉(いりこを磨って乾燥させた粉)。関東の人がカツオ節をかけるのと同じ感覚でしょうか。

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Webstaffも味見させていただきました。
きんぴらは甘さ控えめ(砂糖の配給が減っているためですが)で、味はゴボウに似ていていました。調味料は醤油と砂糖だけだそうですが、おいしかったです。
お浸しは確かに苦みがあり、繊維も少し気になりましたが、魚粉と一緒に食べたら苦みがまろやかになりました。

食材はできるだけ広島から取り寄せていますが、たんぽぽやカラスノエンドウなどは長野県にある山田先生の畑から無農薬のものを持って来てくださったそうです。

また、別の日の夕飯シーンでは、楠公飯(なんこうめし)、めざし1尾、あかざ(野草)の味噌汁が食卓に並びました。

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楠公飯は玄米を炒って、水に浸けて、弱火でゆっくりゆっくり炊いたもの。「倍くらいに膨らむ」とすずのセリフにありましたが、お茶碗に盛るとかなりリッチな感じですね。

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この楠公飯も試食させていただいたところ、歯ごたえは…ないというか、ブヨブヨ!? でも噛んでいると甘みが出てきて、素朴な味わいがそれなりにおいしかったです。

スタッフからも「体に良さそう」とか「毎日はキビシイけど、たまに食べたい」なんて声が聞かれました。

こだわりの食事シーン、これからもぜひご注目ください。

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