特集

バーレーン、マナーマ第42回世界遺産委員会リポート

6月30日(土) バーレーン世界遺産委員会リポート 第三回

 今回の会場は、最高級ホテルのザ・リッツ・カールトンバーレーン敷地内にあるのですが、実は常設のものではなく、世界遺産委員会のために作られた仮設のものです。よく見ると、確かに横側の壁がビニールだったり、床がフカフカしているところがあったりしますが、1000人規模の国際会議場を臨時で作ってしまったのにはビックリしました。これまで参加した世界遺産委員会では初めてで、「バーレーンはお金があるなぁ」と感じ入りました。ちなみに会場のある場所は、普段はヘリコプターの離着場だそうで、さすが王族御用達のホテルです。

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会場がある
ザ・リッツ・カールトンバーレーン

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会場建物の横の壁はビニール

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仮設とは思えない立派な会議場

 今日30日は、新規登録の審議二日目です。
 トップバッターはインドの「ムンバイのヴィクトリア朝様式とアール・デコの遺産群」。ICOMOSの事前評価は「登録にふさわしい」で、その通りに採択され、この委員会で4番目に決まった新しい世界遺産となりました。ムンバイには、やはりヴィクトリア朝様式の建築で、すでに世界遺産になっている「チャトラパティ・シヴァージー・ターミナス駅」があり、それとセットで観ると楽しいと思います。

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新登録第4号
「ムンバイのヴィクトリア朝様式と
アール・デコの遺産群」(インド)© Abha Narain Lambah Associates
Author: Noshir Gobhai

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2004年に世界遺産に登録された
ムンバイの「チャトラパティ・
シヴァージー・ターミナス駅」

 次はイラン、「ファールス地方のサーサーン朝考古景観」。ペルシャ時代の遺跡群で、事前評価は上から三番目(下から二番目)の「登録延期」でしたが、審議の結果、新しい世界遺産に登録されることになりました。

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新登録第5号
「ファールス地方のサーサーン
朝考古景観」(イラン)© ICHHTO Author: B. Sedighi

 そして、いよいよ日本の「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の審議が始まりました。二度目のチャレンジで、ICOMOSの事前評価も最高の「登録にふさわしい」というもので、誰もが新登録間違いなしと思っていた候補です。
 実際、司会をするバーレーンの議長が、「審議時間の短縮をしたいので、これに関しては異議のある国がなければ討論なしで新規登録の採択をしたい」
と冒頭に言ったほどです。
 結局、討論ではなく委員国各国が「おめでとう日本」とか、「よく練られたプレゼンだ」とか、「世界に類を見ないユニークな世界遺産だ」とか、みんなそろって褒め称えるコメントをし、パーフェクトな形で新登録が決まりました。
 登録決定後、バーレーンに来ていた中村長崎県知事や地元自治体の市長や町長ら8人が、会議場外で会見しました。なんで人数が多いかというと、この「潜伏キリシタン」は長崎県と熊本県の天草地方の広範囲に点在する12の集落や教会などで、新たに世界遺産を持つことになった自治体もたくさんあるためです。
 番組でも7月8日午後6時から放送する予定だったので、無事に正式決定されてホッとしました。
その番組はTBS系列の長崎放送が三年がかりで撮影したもので、地元の放送局ならではの秘蔵映像満載です。ご期待ください。

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新登録が決まって喜ぶ
日本政府代表団

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新登録第6号
「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」(日本)

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地元の知事、市長、町長らの会見

 この日は、他にも三つの世界遺産が新たに決まりました。
 新登録第7号は、韓国の「山寺(サンサ)、韓国の山岳仏寺群」。ICOMOSの事前評価通りに「登録」となりました。
 新登録8号は、デンマークの「アシヴィスイット−ニピサット、氷と海の間のイヌイットの猟場」。グリーンランドの先住民イヌイットが狩猟をしてきた広大な大地が世界遺産となりました。
 新登録9号は、ドイツの「ヘーゼビューとダーネヴィアケの国境の考古学的景観」。北海とバルト海を分けるように張りだしたユトランド半島、そこに9世紀に国境として作られた土塁跡です。

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新登録第7号
「山寺(サンサ)、
韓国の山岳仏寺群」(韓国)© CIBM

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新登録8号
「アシヴィスイット−ニピサット、
氷と海の間のイヌイットの猟場」
(デンマーク)© Ólafur Rafnar Ólafsson
Author: Ólafur Rafnar Ólafsson

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新登録9号
「ヘーゼビューとダーネヴィアケの
国境の考古学的景観」(ドイツ)© Archäologisches Landesamt Schleswig-Holstein
Author: Rainer Heidenreich

 明日7月1日も新登録の審議が続きます。

プロデューサー 堤